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彼女は言った、私の寿命は間もなく尽きる と。
「だからね、わざわざ自分で終わらせなくていいの。やりたいようにやればいいじゃない?」
***
小さいときから、私は透明人間だった。家でも、学校でも。
誰もが、私が存在していないかのように振舞う。何がきっかけかわからない。でも、気づいたときからずっとそんな感じだった。
ずっとそうだったけど、でも、だからってそれに慣れたり平気だったりするわけじゃない。いつのころからか、こんな人生を早く終わらせたいと、思うようになっていた。
***
その日。ついにその気持ちが溢れてしまった。
5年生最後の日。私を透明人間にしている主犯格のAが言った。今度の日曜日、皆で公園で遊ばない? ほら、あの大病院の近くの、と。
だけど誰もが賛同し、そうしながら見えないはずの私をちらりと見た。
Aは言った、6年生になってもクラス替えはないし、いじめとかのない仲良しのクラスにしたいもんね、と。いじめの無いクラス。笑っちゃう。
***
それでもなんとなく気になって、日曜日に公園に行ってみた。誰もいなかった。でも、遠くでこちらを窺う気配がして、誰かがささやいた。
「エイプリルフール!」
そうか、今日は4月1日だっけ。
ぼんやりそんなことを考え、それから、ああ、これが最後の一押し、と思った。ずっと考えていたことを、実行に移す時だ。そう、今日、この人生を終わらせる。
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