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四月は一年で最も忙しくなる。なぜなら、月初めに誰もが悪意のない嘘をつく日があるからだ。
「ミッション〝リバティフリー〟を開始する。準備はいいか」
俺は耳につけた小型無線機に呼びかけた。
目の前のモニターには緑青によって青く染まった巨大な女神の映像が映っている。彼女を開放することが今回のミッションだ。
* * *
俺は、密室の会議室にて他六人のメンバーと円卓を囲んでいた。
目の前に座る恰幅良い男が、ヒゲを触りながら俺たちに視線を送る。彼が俺達のボス、通称〝ブラック〟だ。
「さて、今回のミッションを説明する」
ブラックはリモコンを操作して、右手のスクリーンに映像を映し出した。ニューヨークの自由の女神像を空から撮影した映像のようだ。
「皆も知る、自由の女神像だ。百三十年以上世界を見つめてきた彼女だが、このほど休暇をとってもらうことになった」
メンバーがそれぞれに視線を合わせあう。ブラックの言葉の真意を測りかねているのだ。
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