4人が本棚に入れています
本棚に追加
「クライアントは」
右隣に座る〝バイオレット〟が静かに聞いた。人形のような無機質な表情のまま、彼女は射抜くような目で映像を見ている。
「とある国のトップだ」
「まさか、大統領だとか言わないよな」
続けてブラックに聞いたのは、バイオレットの右隣のリーゼントの男。
「その通りだ、イエロー」
一同の顔色が変わる。大統領からの依頼となれば、失敗は許されない。
「……それで、我々は具体的には何をすれば?」
俺の左隣のスーツの男がおどおどしながら手を挙げた。〝シアン〟は今日も相変わらず視線が泳いでいる。
「先程話した通り、彼女〝レディリバティ〟を自由にするのだ」
「ブラック。シアンは詳細な内容を聞いている。そもそも自由にするとはどういう意味だ」
シアンの左隣で腕を組んでいた男が、不機嫌そうに割って入った。
「慌てるな、シルバー。その方法を立案するためにわざわざ全員に集まってもらったのだ」
「女神様をニューヨークからお出かけさせてあげるってことでしょ? 大統領さん、SNSで宣言してたもんね」
バイオレットの左隣でにこにこ笑っているのは〝ローズ〟。童顔で見た目は女子中学生のようだが、三十を超えているという噂だ。
最初のコメントを投稿しよう!