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「正気か、ブラック。いくらかかると思っている」
「金のことなら心配ない。あの金持ち大統領からの個人的な依頼だ。必要経費は全て持つと言ってきた。彼自身の威信とプライドがかかっているからな」
会議室に沈黙が流れ、自然と全員の視線が俺の方に集まってくる。
「どう思う? マゼンタ」
シルバーが俺に視線を寄越した。俺はスクリーンの映像に意識を集中させ、〝目の力〟を開放した。周囲の時が止まり、何もかもが灰色に変化する。スクリーンの映像が早回しになって、〝ミッション開始〟の文字が中央に現れた。
「どうやら、やることになるらしい」
俺が答えると、シルバーは諦めたようにため息をついた。
「仕方ない。話を進めてくれ」
ブラックはうなずくと、リモコンを操作して映像を切り替えた。若干ゴリラに似た金髪の男が偉そうな笑みを浮かべている。テレビやネットなどでよく見る、大統領の顔だ。
「リカルド・バックギャモン、七十四歳。米国の現大統領だ。不動産王として知られ、その総資産は一兆円を超えると言われる」
イエローがひゅうと口笛を鳴らす。金はあるところにはあるというが、ここまで桁が違うと想像も出来ない。
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