4人が本棚に入れています
本棚に追加
「米国時間の四月一日午前十時。彼は自身のSNSアカウントにて、ある発表を行った」
スクリーンに大統領の発信したメッセージが映し出される。
〝長年平和を見守ってきた自由の女神に、バカンスを許可することにした〟
「今回の我々のミッションは、これを実現することにある」
ブラックは至って大真面目にそう宣言した。彼も含めて、我々は決してふざけているわけではない。人々が日常の中でついてしまった嘘を本当にする。それが、俺達〝フール・エイプリル〟の仕事なのだ。
とはいえ、これほど大掛かりな任務はそうそうあることではない。全員で頭をひねって実現方法をひねりだそうというわけだ。
「それで、大統領のお戯れをどうやって実現するんだ?」
シルバーが口を挟んだ。ブラックはそれを手で制すと、更に映像を切り替えた。
「自由の女神像、全長四十六メートル。米国の独立百周年を記念し、フランスで製造、寄贈された銅像だ。先月末から内部の工事に入るという名目で立ち入りが規制されている。つまり、今が好機というわけだ」
映し出されているのは、自由の女神像があるリバティ島。像の周囲に囲いがされていて、その姿は完璧に見えなくなっている。
最初のコメントを投稿しよう!