魔王城のお引越し

勇者が魔王城を目指して、攻めて来ていると知った魔王は、居城である魔王城を放棄して、打って出ることにした。
攻めて来るのが分かっていて、玉座に座ってジッと待っていなければならない理由はない。勇者とその仲間は、魔王に挑めるだけの人類最強格であり、ならば、その勇者がいない、人間界を攻める好機と魔王は考えて、魔王城を捨てて逆侵攻を始めた。
そして、愚かにも勇者たちが誰もいない魔王城に辿り着き、肩透かしを食らって首を傾げながら人間界に帰還すると、人間界を征服した魔王が、人間界の国王の城を奪って新たな魔王城として、勇者たちを迎え撃った。
まさか、自分たちが魔王城を目指している間に、逆に人間界が魔王に征服されると思っていなかった勇者たちは動揺し、あっけなく魔王に敗れた。