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手相占い
「ふぅん、手相占いで真犯人がわかるなら、警察はいらねえェじゃねえか!」
ヤンキーの斉木リョウは皮肉を言った。
「そうよ」水田マリアもうなずいた。
「できれば、手相占いや超常現象で真犯人を当ててほしくはないがね」
有野も納得できないようだ。
ミステリーヲタクとしては当然だ。
占いや心霊現象で真相を暴くことはミステリーでは御法度だ。
禁じ手と言って良いだろう。
『フフゥン、ところで、鰐口警部補。最近、この辺りのマンションで盗難事件が多発しているのはご存知ですか?』
だが不意にナポレオンは話しを変えた。
「え、ああァ、もちろん防犯を呼びかけているが」
「関係ねえェだろう。盗難事件なんて」
ヤンキーの斉木リョウはツッコみを入れた。
『ええェ、直接は関係ありません。ですが、マンションの盗難事件の多くは最上階で起こっている事をご存知でしょうか?』
「え、最上階?」
「一階や二階で盗難事件は起きてるんじゃないの?」
『いえ、最上階の住人は油断してるんでしょうね。まさか、泥棒が屋上から降りてきて犯行に及ぶとは思ってないのでしょう。防犯意識が低く、ベランダのサッシに鍵をかけ忘れるケースが多いそうです』
「おいおい、おぼっちゃま探偵の防犯の講義を聞くために、わざわざオレたちの『手相占い』をしたのか?」
ヤンキーの斉木リョウはキレ始めた。
『いいえ、手を見せてもらったのにはワケがあります。まず、風雅刑事は両手を大きく開いてみせました』
「はァ、そうだったかな」
そういえばボクも半ばヤケになって見せたような気がする。
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