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「もうとっくに君だけを愛してるんだけど、まだ知らなかったのかな? 俺のお姫様は」
彼のその言葉が私の心に沁み込み、先ほどのシーツにできたシミのように私の心をじわりと染める。
「……誰も消さなくていい、だから私を、私だけをこれからも愛して」
「あぁ。もちろん」
どうせもう逃げられないのだ。
私のナカには彼の子種が注がれてしまったし、彼が今見ているのも私らしい。
“自ら逃げたヒロインが舞い戻ってくることは怖いけれど――”
だが、すべての強制力を振り切ってまで逃げたのなら戻ってこないだろう。
もしかしたら他のキャラが推しだったのかもしれない。
“そうだったらいいのに”
だがそのことを知る術は私にはもう残っていなかった。
私に出来るのは、彼の腕の中でそう願うことだけ。
それならば、もう囚われてもいいのかもしれない。
彼のこの甘い甘い、愛の檻に――……
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