39人が本棚に入れています
本棚に追加
/26ページ
1.余裕ぶっていた
――この世界がヤンデレ乙女ゲームの世界で私が悪役令嬢だと気付いたのは、婚約者として王太子であるシルヴェストル・バールシュ殿下を紹介された十二歳の時。
悪役令嬢マリアナ。それが私に与えられた役柄だった。
自分が悪役令嬢だということに特別感想はなく、私を王太子妃にしようと子供に厳しすぎる教育をする両親というこの将来性格が歪みそうな家庭環境にむしろ納得したくらいである。
このゲームが進めば、きっと強制力で私は婚約破棄されるのだろう。
“構わないわ”
悪役令嬢に転生というのはヒロインとのバトルがセオリーだが、元々王太子妃の立場に興味はない。
前世ではヒロインよりむしろ悪役令嬢こそが主人公の創作物が溢れ、必死に足掻き婚約者とハッピーエンドを迎えるものだって少なくはなかったが、それは彼女たちが恋し幼い時から必死に努力したからだ。
「それはあり得ないわ」
だってここはヤンデレ乙女ゲーム。
監禁も執着もお断りだし、そんな男からの溺愛なんていらない。
ならば答えは簡単だ。
何もしなければいいのだ。
最初のコメントを投稿しよう!