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「お待ちください、私たちは確かに今日夫婦になりましたが決して想い合った関係ではないはずです!」
「……へぇ?」
しまった、と思った。
彼の宝石のように輝いていたその瞳が輝きを失ったから。
「想い合ってないってことはマリアナは僕のことを好きじゃないってことなのかな、それは困ったな」
「ち、ちが……」
「そうだよね、君の瞳は僕ではない遠くをずっと見つめていたもの」
一歩、また一歩とシル様が距離を詰め、手を伸ばさなくても触れてしまいそうなほど近くなる。
「マリアナの足の腱を切ってしまおうか。そうすれば君の世界は僕しかなくなるよ」
「ひっ」
「大丈夫、食事も排泄も全部僕が面倒をみてあげる」
「や、やだ……」
「あぁ、いいね。怯えたその瞳にやっと僕が映った」
くすくすと笑う彼にどんどん血の気が引く。
逃げたい、私もヒロインのように逃亡してしまいたいのに――
「大丈夫、そんなことはまだしない。まずはちゃんと好きになって貰う努力をしなくちゃね、僕に縋り懇願し甘える君を見たいから……だから、初夜の今日は気持ちよくなることだけを考えようね」
「しょ、や……、んっ」
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