極道の若頭だけどオメガバのある異世界に転生した上、駄犬と龍人族の王に求婚されている。

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「羽琉、やっぱり手ぇじゃくて股の間を貸せ」 「お前そのまま後ろに入れそうだから嫌だ」 「前のお前の体だったらな。流石にその体には入れねえよ。お前も溜まってるだろ。一緒に抜いてやる」 「はいはい、気遣い痛み入るわ」  言い合いしている時間も惜しくなってきて、手っ取り早くズボンと下履きだけを脱いだ。  ベッドの上に乗って四つん這いで後ろを向くと、滑りを帯びた液体を陰部全体的に塗りたくられた。  即興で魔法で生成したローションみたいなものらしい。 「……っ」 「足を交差させて閉じるぞ」  敢えて言葉にされる事で感度を上げさせられる。 「……ぁ」  滑りを帯びた陰茎が閉じた足の隙間から出入りして、その度にこちらの陰嚢と陰茎の裏筋を擦っていく。それが性的な刺激を誘い、快感となった。 「んっ、……ッ」  上擦った声を出すのが嫌で口を閉ざすと、邪魔をするように律動を早められた。互いの皮膚を打つ音が静かな室内で響いてやけに耳につく。  前に伸びてきた指先が胸の突起を押し潰して、擦り上げる。 「ん、ぁ、……啓介、それ……っやめろ」  そんな事されると即行で絶頂に追いやられてしまう。 「なら、下だけにしとくわ」 「んん゛っ、ん゛ーー!」  出し入れされる度に啓介の陰茎と一緒に握り込まれてしまい、絶頂へと高められていく。これも駄目だ。もたなくて、体が大きく戦慄いた。 「出る……っ、啓介ッ出るッ、んぁ、あ!!」  全身を強張らせて腰を反り返らせると、パタパタとシーツの上に精液が落ちていく。その間もずっと抽挿されていて、絶頂感が止まらずに体がビクビクと震えた。 「ん、ぁ、も……っ、早く……イけ」  啓介が欲を吐き出した時にはもう力が入らなくて、乱れまくった息を溢してベッドの上に転がる。 「本当に体力ないな羽琉」 「放っておけ」  そのまま風呂に入れて貰って、風呂でも素股させられて、疲れたのか疲れを取ったのかよく分からない状態になった。  龍人族の王宮を出られたのは、それから一時間後の事だ。  今は王宮の外にある市場にいた。  ここの街は青系統の色を主色としていて、どの建物にもその色が入っている。龍人族の体の大きさに合わせて、一つ一つの家や店といった建物全てが三メートルくらいの大きさはあった。  レヴイの体のおおよそ二人分の大きさになる。  あんなに行くのを渋っていた啓介が今は機嫌良さそうにしていて、色々な店で買い物を済ませて全て宙に浮かべていた。 「これも貰おう」  また何かを購入している。黒がかった紫色のにんじんみたいだ。  ——マジで機嫌良さそうだな。何だ……結局溜まってただけか。  それなら抜かせておいて正解だった。と思考を切り替えた。 「行くぞ、羽琉」 「分かった」  たくさんの手土産を全て浮かべた啓介に片手で持ち上げられる。  せいぜい三十メートルくらいの高度だが、空から眺める景色は最高に良い。 「これは俺には出来ないのか?」 「魔力量不足だろうな」 「……本当にマジで腹立つなお前」 「拗ねるな」  頬に口付けられる。 「キメェ……甘いのやめろ」  鳥肌が立ったまま物言いたげに見つめ、思いっきり嫌な顔をすると笑われた。  モンスアローに着き、店の扉を開ける。 「ただいまー」 「兄貴!!」  カイルに抱きしめられそうになったとこを、啓介に抱え上げられて阻止された。 「もしかしてと思ってたけど、アンタ……須藤さんすよね?」 「よう、久しぶりだな拓馬。羽琉には触れるな」 「……」 「……」  カイルと啓介が互いに無言のままメンチ切ってる。  この仲の悪さは本当にどうにかして欲しい。  自分が原因なのは理解しているが……解せぬ。  他にも美人なお姉さんとか、可愛い女の子がいるだろう。なんで態々男……。しかも自分の事を好きになるかどうかも分からない、情緒的に欠陥のある己に走ったのか。解せぬ……と自らの目頭を揉む。  元の体に戻れば身長百八十センチはある細マッチョだ。腹筋だって割れていた。  このレヴイの体みたいに、細くもなければ、綺麗系でもない。色気があるわけでもない。透けるような白い素肌でもない。それなりに女にはモテるから顔は悪くないとは思うが。  本当に残念なイケメンたちだ。  二人とも彼女が居た事もあるけれど彼氏が居た事はないので、バイではないと思う。イケメンの無駄遣いだ。残念過ぎる。ため息しか出ない。  啓介の腕の中から逃れて地に降り立ち、ルドの元へ駆け寄った。 「あの、ルドさん本当にすみませんでした。これ全部貰ってくれませんか? あそこでカイルといがみ合ってるアホな王様からです」 「アホ……」  ルドの視線が啓介を追う。  小麦粉が入った大袋と、啓介の魔法で冷凍機能を付けた二メートルくらいの大きさの保管庫の中に、肉がどっさりと入っているのを確認してもらった。  あとは野菜だ。龍人族が管理している畑でしか取れない物らしく、ルドが目を輝かせている。 「こんなに豪華で珍しい品物ばかりを本当に貰っていいのか?」 「はい。お詫びを兼ねてますので。あの冷凍保管庫も半永久的に使えるみたいなのでそのまま店で使ってください。食材がかなり長持ちします。あと、すみません。俺ちょっと行く所があって、しばらくの間旅に出掛けてきます。店の手伝いをすると言いながら本当に申し訳ないです。少し危険な所へ行くので、もしかしたら戻れないかもしれません。なので、部屋の鍵もお返ししておきます」  取り出した鍵を手渡そうとすると、そのまま手を握り返された。
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