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皆が立ち上がる頃、彼女はなんとか首を上げる事が出来るようになった。
皆が歩き始める頃、彼女は少しだけ座れるようになった。
でもバランスがおぼつかないのか、数分の間しかそれを保てない。
首が安定しないのだ。
彼女の頭はすぐに後ろへ九十度の角度へと曲がる。
そしてバランスを崩すと彼女は潰れた卵の様な音を立て、頭を中心に床へと倒込む。
痛くないのか?
泣きわめくことはない、寧ろ笑っている。
それを見て私はとても怖くなる。
心の中がざわつき始める。
『頭がおかしいんじゃないの』って、思わず叫んでいた。
叫ばずにはいられなかった。
想いを吐き出さなければ、自分がおかしくなりそうになったからだ。
母が私の頬を思いっきりひっぱたいた。
いつもあんなにも優しい母が……。
ツ―ンと鼻の奥が痛くなる。
鼻水の中に涙が混じった感じ。
何にも悪い事なんてしてないのに。
なんで?
涙目で訴える私を……ギュッと彼女は抱き締めた。
びくっとなると同時に母の震えを感じた。
伝染するように彼女の想いが私の身体へと伝わって来た。
ああ……私は言ってはいけないことを口にしてしまったに違いない。
大切なたった一人の妹に。
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