自宅警備隊員

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 僕が自宅警備隊員になるのは、お母さんとお父さんが出かけたときだけ。  つまり、この広い家にひとりぼっちになったときのみ、なるんだ。  ひとりぼっちの家は、とってもガランとしてて、不気味で寂しい。  だけど、自宅警備隊員になったならば、そんな気持ちは跳ね除けなきゃいけない。  なにしろ、この広い家のお金や宝石を狙ってる悪いやつらは多いだろう?  何がなんでも、僕が守らなきゃいけない。  それが僕の大事な任務。  自宅警備隊員の仕事はいたって単純だ。  ひたすら家の中をパトロールして、怪しいやつはいないか、目を光らせる。  窓の外に怪しい人影を見たならば、勇気を持って近づき、追い払わねばならない。  追い払う際、そのやり方は問わない。  ただ、できるだけビビらせたいというのが、僕の気持ち。  僕が考えた怪しいやつを追い払う方法そのいち。  ーー犬になりきる。  泥棒は犬に弱いと、テレビで言ってた。  だから、僕は着ぐるみを着て、窓越しにわんわん吠えてやるんだ。  窓はすりガラスになっているから、着ぐるみだってバレやしない。  犬の鳴き方は、研究に研究を重ねて、より犬に近い声が出せるようになった。  怪しいやつを追い払う方法そのに。  泥棒は賑やかさに弱いと、誰かから聞いた。  だから、家中のありったけのスピーカーを並べて賑やかさを演出するんだ。  中でも賑やかというより、主張の強いロック系の音楽をかける。僕のおじいちゃんがロック好きで、家の奥底に眠っているCDたちを活躍させる。  ダメ押しで、僕もピアノの弾き語りをする。  僕のピアノの技術はまだまだだけど、適当に弾くなら僕でもできる。  僕流ジャスピアノってやつだ。  音楽ってのは、楽しくなれるのがいちばん!  楽しみながら、怪しいやつも追い払えるなんて一石二鳥じゃないか!  怪しいやつを追い払う方法そのさん。  泥棒でも、お化けは怖いと思うんだよね。  誰だって、見えないものが見えたら怖い。  僕は成り切るんだ、お化けにーー。  ベットに敷いてあるシーツを根こそぎ持って行って、すりガラス越しにシーツをすっぽり被った僕が、行ったり来たり、走り抜ける!  そうすると、シーツがいいかんじになびいて、まるでお化けかのように見せれる。  なんて天才的な考え!  僕はこの3つの追い払う方法をふんだんに使って自宅警備隊員を努める!
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