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自宅警備隊員の仕事は突然やってくる。
「買い物行ってくるから大人しく待っててね」
お母さんとお父さんが買い物に行ってしまった。
さて、お母さんが玄関の扉を閉めた瞬間から、仕事はスタートする。
「おほん!」
ひとりになるのが実は僕は怖いけど、それを誤魔化すために僕は大きな咳払いをつく。
「キッチン・・・異常なし!トイレ・・・異常なし!」
自宅警備隊員はいつでも、テキパキ、ハキハキしていなければならない。
大きな声で異常のないことを確認していく。
「リビング・・・いじょ・・・」
途中で僕は気づいた。すりガラスの向こうにうごめく猫の影を。
猫だって泥棒になり得る存在だ。猫だからって、なめてかかってはいけない・・・!!
「い、異常あり!」
ついに、ここで、僕の初仕事だ。
子供部屋から急いで犬の着ぐるみを持ってきて、頭から被り、すりガラスの近くまで行って、思い切り吠えた。
わんわん、わんわん!
へへん、本物同然のこの鳴き声、どうだい?!
猫は犬が苦手っていうよね・・・!
僕は着ぐるみからちょびっと顔を出して、すりガラスの向こう側を確認してみた。
すると、しばらくうろついていた猫の影は、にゃーとひと声鳴くと、そのまま行ってしまった。
「やったー!」
僕は思わずガッツポーズをした。
自宅警備隊員としての自分の活躍に、どっぷり浸っていた・・・のも束の間、次の刺客はそこまできていた。
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