ボクのおじいちゃん

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 無口で、無表情で、読書家で、テニスが好きで、ハーモニカが上手で、忘れんぼうで、泣き虫なボクのおじいちゃんはそれからすぐに天に帰っていった。  ーー時が経ち、ボクは高校生になった。  ある時に、ふとしたきっかけでおじいちゃんの話題が家族の中で出た。  ボクは父から、祖父の生き方や人生について話をしてもらった。  ボクの中で祖父と交わした会話や時間は特に印象がなく、さして思い出も残っていなかった。  幼いボクの中で祖父は、とっつきにくい人、としか記憶になかった。    だけど、父から祖父のストイックな生き方、考え方、そんなものを聞いて驚いた。  難しい本を読み、生きることとは何か、いつも現実と真摯に向き合いながら生きていたと。  お金持ちだったにも関わらず、いつも質素な生活をし、必要最低限で生きていたと。  そして、ボクが幼いときは、金銭的支援も陰でずっとしていてくれた、と。  無口で無表情でありながら、いつも心の中ではたくさんのことを考えていたのだ。ボクたちのために、自分の生きる意味を見つけるために。  本当に、真面目、の一言に尽きる方だった。  だから、今度こそ、ボクは声を大にして言いたい。  ・・・ーーボクのおじいちゃんは、カッコいい。
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