──松尾和希の友人代表の挨拶──

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──松尾和希の友人代表の挨拶──

「ご紹介預かりました松尾和希と申します。拓斗とは高校時代からの親友でございます。拓斗との出会いは高校の入学から始まります。緊張している私に一番に声を掛けてくれました。それからことある事にお互い相談し合う仲になりました。しかし一度だけその拓斗が塞いでる時がありました。その時は私にも何があったか教えてくれませんでした。それはお父様が亡くなられる前日の時です。今でも覚えていますがあの日は朝から何も話さない感じですぐに何かあったなと思ったのです。途中で呼び出され学校を早退した拓斗をを見送ることしか出来ませんでした。  翌日亡くなった知らせを受けました。当時私は何も出来なかったことを大変歯がゆく思いました。何か出来ることはないか? いつもそんなことを思ってた気がします。そんな時、ささいなことですが拓斗の机に『がんばれよ』とメッセージを残しました。しかしこれが美郷さんとの縁を作るきっかけになったのです。  卒業して何回か会ってはいたんですが、拓斗と同窓会で久しぶりに再会しました。その時なにげにこのメッセージの話になりました。拓斗から切り出したのですが私にメッセージのことを聞かれました。拓斗は覚えてないだろうと思ってなんとなく聞いたようでしたが私ははっきり覚えてました。理由は簡単です。拓斗は親友だからです。親友を思って思い悩んだこと忘れる訳がありません。拓斗は言ってくれました。『気分が滅入っていた時に本当に助けられた』と。あれは嬉しかったなぁ。と同時にこいつと親友で良かったと心から思った瞬間でした。  実はそこから恋の物語が始まるのです。あの時、メッセージを残した人物がもう一人いました。その人物も大変拓斗を心配していたようで。でも当時は彼女はあまり拓斗と仲が良かった訳ではありません。ただのクラスメートでした。少なくとも私たちからしたら。しかし彼女は違ったようです。彼女もその時拓斗のことを思い悩んでいたようです。私が机にメッセージを残した時、たまたま見られていたようで彼女も真似をしたようでそこに同じように『頑張って』とメッセージを残したようです。そして運命の同窓会。そこで拓斗は真実を知ったのです。あのメッセージを誰が書いたのか? そして彼女の想いがいつから始まっていたのか。メッセージを書いた人物。それはご存じの通り美郷さんです。たまたま拓斗とその話をしていた時に拓斗がそのメッセージのことを覚えていて私と話していた時に美郷さんが聞いていたのです。美郷さんは盗み見も盗み聞きも得意なようなので、拓斗。注意しろよ。それは冗談ですが、そこから運命の歯車が回り始めたようです。だから私が二人のキューピットなんですよ。 〈中略〉 いつまでもお幸せに。二人手を取って仲良くしてください」  和希は親友を出来る限りの言葉で祝福した。  ──頑張れよ。拓斗──
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