エピローグ どんな時にも

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エピローグ どんな時にも

 二人は披露宴のあった式場にあるロイヤルスターガーデンホテルに泊まって広いテラスに出て夜の景色を眺めていた。空は月と星が輝いてるし地上は街の明かりで素敵な夜景を醸し出してる。 「今日は楽しかったね」 「そうだな。いい式と披露宴になったな」 「拓ちゃん、両親の感謝の手紙で泣いちゃうんだもん」  へへへと笑いながら美郷は手を取ってきた。 「そう言うなよ。分かってたくせに」 「うん」  美郷が躊躇わず頷く。確かに感情を溢れさせて感謝の手紙を読んでしまった。本来なら主役は美郷でないといけないのに、司会者まで泣かせてしまう失態と拓斗は反省した。 「美郷、ありがとう。やっぱり俺は美郷に救われてる」 「何言ってるのよ。拓ちゃんだからあんな手紙が読めたんじゃない。ほんとお義母さんとお義父さんには感謝しかないわ。お義父さん諦めてたら拓ちゃんと一緒になれなかったんだし」 「そうだな。それだったら美郷の両親にも感謝だよ」 「そうだね。いつも大切に育ててくれたもん」 「そんなプレッシャー掛けるなよ」  へへへと美郷はまた笑う。 「ねぇ、まだまだ拓ちゃん知らないこといっぱいありそう」 「同じだよ。まだまだ美郷のこと知らないことだらけだと思う」 「そうだよね。でも私これからのことをもっと大事にしたい。拓ちゃんと二人で作る未来っていうのかな」 「うん。そうだね。過去にいろんなことがあって紡いできて、紡いでもらってここに二人でいるからね」 「違うよ。三人だよ」 「えっ? もしかして……」 「多分ね。そんな気がするんだ。確信ないけど」 「そっか。そうだな。俺もそんな気がする。俺たちは俺たちで物語を作って行こう」 「そうだね。約束だよ」  美郷は左手の小指を立てて拓斗に突き出した。拓斗は頷き美郷の小指に自分の小指を絡めた。 「ねえ、ここ景色綺麗だね。拓ちゃんの好きな星がものすごく出てる。それにあの月もあんなに綺麗に輝いて」  二人、静かに星と月明かりに照らされている。 「美郷知ってるか? あんなに輝く月も太陽に照らされて輝くんだ。あんなに輝く月は美郷で太陽が俺になる。俺がずっと照らし続けるから」 「また、そんな気障なこと言っちゃって。でも私は拓ちゃんに照らされてずっと輝くから」  二人は絡めた小指を月に掲げた。お互いの薬指にはめたリングは月明かりに照らされ優しく輝いた。 〈了〉
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