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「まだ何かやる?」
充に聞かれて、うーん、と唸って腕を組む。
恋人は欲しい! それは変わらない。でも出会いの難易度が高すぎて、正直面倒になってきた。
「今日はもうやめとく。一緒にやってくれてありがとう」
「気にすんな。俺は俺で恋愛フラグ立てにきただけだから」
ん? 充は今日何かしてたかな? 俺にアドバイスしていただけだと思うけど。ぶつかる時は相手が見つからなくて相手役をしてくれた。ハンカチは相手が拾ってくれなくて、拾ってくれた。特別なことはしていないと思う。
「分かんない? 好きな子の恋愛に協力するのも恋愛フラグだと思うけど」
好きな子の恋愛に協力? ……それって充が俺を好きってこと?
顔が火照る。
「俺の立てた恋愛フラグ、気に入ってくれた?」
充は期待に満ちたような顔で笑う。相手は充なのに少しときめいた。
「俺じゃダメ?」
俺の後ろにあるベンチの背もたれに腕を掛け、充は身を乗り出して熱い視線を寄越す。
「ダメっていうか……。充のことそんな風に見たことなかったから」
告白なんてされたことないから、どう返事をすればいいのか悩む。
「……こういう時って何て言うんだっけ?」
充は瞼を閉じて天を仰ぎ、うーん、と眉間に皺を刻む。俺は返事に悩んでいるけど、充は何を思い出そうとしているんだろ?
しばらく唸っていたが、思い出したのか手を叩いて表情を明るくした。
流し目で頬を撫でられる。
「おもしれー男」
思わず吹き出してしまった。
「あれ? 何か間違ってたか? なびかない相手にこう言うのが恋愛フラグだと思ったけど」
キョトンとした顔が、先ほどの顔とギャップがありすぎて可愛らしくみえた。
「ううん、合ってると思う」
こんなに恋愛フラグが立ったんだ。充とのこと、考えてみよう。
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