4768人が本棚に入れています
本棚に追加
/345ページ
「⋯誘惑と戸惑い」
「えっ⋯⋯」
「今のお姉さんにぴったり」
まるで全てを見透かされているかのような発言に背筋がピンと伸びる。
この場所だからなのかお酒を飲んでいるからなのかは分からないが、この男性から溢れ出る色気にあてられてしまったようだ。
長い指でロックグラスを持ったままその男性はなぜか席の距離を詰めてきて一つ隣に移動してきた。
すごく自然な動きで何も言う隙を与えず、より近くで彼の顔を確認することでより端正さが分かる。
鼻筋はしっかり通っていて綺麗な二重がすごく印象的だった。
かきわけた前髪が少しだけ目にかかるものの、その瞳の中には獰猛な獣を飼っているような危なさも感じる。
そんな瞳を隠すかのように微笑む姿はとても甘美で、この色気と危うさに惹かれる女性は少なくないだろう。
私を見つめて小さく笑みを浮かべる姿は不覚にもときめいてしまうほど映えていた。
「お姉さん一人?」
「まあね。待ち合わせまでの時間つぶしです」
最初のコメントを投稿しよう!