想いは同じ

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「無益な殺しはしねぇよ。お前の事は八旗の組長に引き渡す。今後の話をつけた上でな」 「……そうかよ」  理仁の言葉に項垂れた惇也は、それ以上何か言葉を発する事はなかった。  それから暫くして八旗組組長が直々に出向き、惇也の身柄を引き取りに来た。 「鬼龍、今回はうちの惇也が済まねぇな」 「八旗さん、もう少し教育をしっかり頼みますよ」 「ああ、分かってる。惇也(コイツ)は娘の男でな、娘からも頼まれていたせいか、ついつい甘やかしちまってな……。今一度性根を叩き直す」 「頼みます。檜垣、今後真彩は勿論、悠真にも一切近付くな。次舐めた真似すれば命はねぇと思えよ」 「…………ああ、分かってる」  去り際、不貞腐れる惇也に念を押した理仁は車の前で待っていた真彩や朔太郎たちの元へ戻って行く。 「理仁さん……」 「何だよ、そんな泣きそうな顔して」 「私のせいで、本当にすみませんでした」 「何度も言わせるな。お前のせいじゃねぇよ。檜垣の件は今度こそ片が付いた。安心していいぞ」 「ありがとうございます」 「姉さん、理仁さん、そろそろ帰りましょう。乗ってください」 「ああ。行くぞ、真彩」 「はい」  運転席に座る朔太郎に促された理仁と真彩は車に乗り込もうとした、その時、 「死ね! 糞野郎!!」  近くの建物の陰から一人の男が飛び出してくると、その手には銃が握られていて銃口は理仁に向けられている。 「理仁さん、危ない!!」  それにいち早く気付いた真彩は咄嗟に理仁の前に身を投げ出していて、 「真彩!?」  数秒遅れて理仁が気付いた時には既に遅く、 「真彩!!」  パンッという乾いた銃声と共に理仁の目の前に立った真彩の身体はその場から崩れ落ちていった。
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