想いは同じ

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「真彩! しっかりしろ!」 「あ、姉さん!」  理仁を庇って右胸辺りを撃たれた真彩の顔はどんどん青ざめていき、着ている白地のシャツは血で赤く染まっていく。  その一部始終を見ていた惇也は車から降りて真彩を撃った相手に話し掛けた。 「作馬……お前……」 「アンタがヘマするから、俺が代わりにやってやったんだよ」 「作馬! てめぇ自分がした事分かってんのか!? 撃ったのは組織に関係のねぇ女だぞ!」 「分かってますよ。けど、俺が狙ったのは鬼龍だ。それをあの女が勝手に出て来て弾が当たった。それだけの事ですよ」  理仁を狙い、庇った真彩を撃ったのは作馬で彼は惇也が交際していた奈々葉の弟だった。  奈々葉は惇也と別れた後、理仁に振り向いて貰おうと必死だったけれど見向きもされなかった。  彼女は良いところの生まれで欲しい物は必ず手に入れていたものの、お金があっても美貌があっても理仁の心を手に入れられなかった事でかなりのショックを受けた。そして理仁が店に来なくなると彼女自身も店を辞めて引き篭もるようになってしまった。  それから精神的に病んだ彼女は怪しい仲間に出逢って薬に手を出し、最終的には事故死してしまった。  そんな姉の末路が原因で作馬の家族は崩壊し、当時中学生だった作馬は親類に引き取られていく。  それから約一年後、以前奈々葉から惇也と交際していた事を聞いていた作馬は偶然繁華街で惇也と再会し、惇也から姉の人生が狂ってしまった原因が鬼龍組組長にあるという話を聞かされて復讐を遂げる為に惇也と共に八旗組へ入り、任務をこなしながら理仁に復讐する機会を窺っていた。  惇也が理仁を仕留めるならばそれでいいが、もし失敗した際は自らが手を下すと覚悟を決めていたようで、血に染る真彩に縋る理仁を前にした作馬は薄ら笑い、再び銃口を二人に向ける。  しかし、八旗の組長や惇也に取り押さえられた彼が再び引き金を引く事はなかった。  そんなやり取りも作馬の思惑も今の理仁にとってはどうでも良い事で、作馬たちに目を向ける事すらしない。  本来ならば救急車を呼んですぐに近くの病院へ運んでもらうのが最善なのは誰が見ても一目瞭然なのだが、拳銃で撃たれたとなれば当然警察も動く事になる。  組織絡みの事案で警察が介入するのはあまり芳しくない事もあり、理仁と朔太郎は真彩を車に乗せると、朔太郎が出来る限りの応急処置を施し、理仁は急いで坂木の病院へと車を飛ばして行った。
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