想いは同じ

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 どのくらいの時間が経ったのだろうか。理仁がふと顔を上げると、窓から朝日が差し込んでくる。眩しさで目を細めたその時、処置室のドアが開いて額に汗を滲ませた坂木が険しい表情のまま理仁の元へ歩いて来る。 「坂木、真彩は!?」 「…………手術は成功した。弾も急所は外れていたが、とにかく出血が多かったせいか危険な状態には変わりない。後は、彼女の生命力に懸けるしかないな」 「…………そうか」 「彼女の傍に付いていてやれ」 「ああ、そうするよ」  坂木はポンと理仁の肩を叩くと外の空気を吸いに玄関から出て行くのを見届けた理仁は、看護師によって病室へ運ばれた真彩の元へ向かった。  真彩のすぐ横に椅子を持って来た理仁は腰を下ろし、眠っている彼女の髪をそっと撫でた。 「……真彩、頼む。どうにか頑張ってくれ。俺はまだお前に、何も伝えてないんだ」  真彩は惇也の元へ向かう前、理仁宛に残した書置きに自分の気持ちを綴っていた。 『もう二度と恋愛なんてしないと思っていたけれど、貴方に出逢って、その決意は揺らいでいきました。今ではもう、貴方の事が大好きです。大好きだから、貴方を危険な目に遭わせたくはないんです。勝手な事をしてごめんなさい、分かってください』と。  それを見た理仁は心底後悔した。既に両想いだった事にそれとなく気付いていたのに、勇気を出せずに気持ちを伝える事もなく過ごして来た事を。 「お前だけ言い逃げなんて、狡いだろう? 目を覚まして、俺の話も聞いてくれよ……」  弱々しく語り掛ける理仁の表情は、かなり憔悴しきっていた。そんな中で手を握り、ただひたすら真彩が目を覚ましてくれる事を願い続けていた。
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