想いは同じ

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 坂木と理仁が会話を交わしているさなか、真彩は意識を取り戻していた。理仁は背を向けていたので気が付かなかったようだが坂木はそれに気付いていた。  けれど、真彩に話したい事があった坂木はそれを敢えて口にしなかった。 「目が覚めたようだね」 「……はい」 「まだ暫くは安静にしていてね」 「はい……あの、坂木……さん」 「何だい?」 「その、今のお話……」 「ああ、鬼龍の親父さんの話かな?」 「はい」 「理仁が女性を遠ざけていたのは親父さんの件があるからなんだ。親父さんは、当時愛していた女性を抗争に巻き込んでしまった。うちには瀕死の状態で運び込まれて来たんだ。出先を襲われたと聞いた。運び込まれて来て、手術もしたけど、結局助からなかった。親父さんは最後まで彼女に付き添っていた。ずっと悔やんでいたよ、自分が鬼龍組の組長だという事を。その時、理仁も病院に来ていて、親父さんの様子を遠くから見ていた。理仁なりに、思う事も色々あっただろうね」 「そうだったんですね……それなのに私は、理仁さんに辛い思いをさせてしまって……」 「責める事はないさ。理仁の事だ。自分の気持ちに気付いていても、踏ん切りがつかなかったと思う。けど、今回の事で理仁は君という存在がかけがえのないものだと確信出来た。理仁を縛っていた呪縛を解く事が出来たんだから」 「……坂木さん……」 「さてと、そろそろ理仁が戻って来るだろうから俺は外へ出ようかな」  その言葉と共に処置室のドアが開いた。 「……真彩……」 「理仁……さん」 「目が、覚めたのか……」 「はい、あの……ご心配、おかけして――」  真彩が目を覚ましているのを目の当たりにした理仁はすぐさま駆け寄り、彼女が言い終える前に傷に障らないよう横になったままの真彩に覆い被さると、優しく身体を抱き締めた。
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