幸せは永遠に

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 あの日から正式に交際を始めた二人は、忙しい合間を縫っては時間を取って少しずつ愛を育んでいた。  休日には悠真と三人で様々な場所へと出掛けたり、時には朔太郎や翔太郎に悠真を任せて二人きりで出掛けたり、これまで以上に共に過ごす時間を大切にしてきていた。  二人の愛は揺るぎないもので、籍も早めに入れようかと話はしていたものの、悠真の事を思うと時間をかけた方がいいのかと悩み、常にタイミングを窺っていた。  幼稚園にも慣れて最近では朔太郎と過ごすよりも友達と過ごす時間が増えた悠真。  それと同時に友達が父親と出掛けたり、遊んだという話を聞くと羨ましく思う反面寂しい思いが勝るようで、『ゆうまにもパパがいたらよかったな』と口にする事が増えつつあり、そんな悠真を見ていた真彩は今ならきっと喜んでくれるのではないかと思い理仁に話を持ちかけたのだが、理仁は悠真が喜んでくれるかどうにも不安のようだった。 「悠真、お友達がお父さんとお出かけしたとか遊んで貰った話を聞く度、自分にも父親がいたら良かったって話す事が増えたんです。それを聞くと、私申し訳無い気持ちで……」 「まだ幼いからな、そういう風に思うのも仕方ねぇよ。周りが羨ましく見えるんだろうな」 「だから、やっぱり早く父親という存在を悠真に与えてあげたいんです。理仁さんの事が大好きだから、絶対大丈夫ですよ」 「……しかし俺は、朔太郎に負けてる気がするんだよな」 「あー、それは多分、理仁さんだけじゃないですよ。朔太郎くんには母親の私ですら勝てなさそうですもの」 「そんな事はねぇと思うがな……」 「でも、朔太郎くんの事は『父親』よりも『お兄ちゃん』という感覚が強いと思いますから。ね? だから、明日遊園地に行った時、話をしても良いでしょうか?」 「……そうだな、話をしてみるか」 「はい!」  明日は休日で悠真が行きたがっていた遊園地へと遊びに行く約束をしていた事もあり、その時に話をするという段取りに決まったのだった。
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