1 まだ見ぬ私の旦那様

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 私の不安をすべて消し去った。 『今度の休みに花嫁衣裳を選びに行こう』  ――花嫁。私を旦那様の花嫁だと思ってくださってる。  形だけの妻ではなかった。  それも、手紙には忙しい旦那様が時間を作り、一緒に花嫁衣裳を選んでくれるという。  小さな紙片を握りしめ、涙がこぼれた。  まるで恋文のよう。  夫婦だから、恋文と思うのもおかしな話だけど、たった一言がこんなにも嬉しいなんて思わなかった。  やっと旦那様に会える。 「よかった……」  旦那様に嫌われていなかったという安心感が、疲れた体に睡魔を呼び込む。  繕い物の途中だったのに、心地よさに負け、少しだけと思いながら横になった。  眠った私は後に後悔することになる。  まさか、私の部屋に萌華さんがやってくるなんて、少しも考えていなかったのだった――
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