2 憎い義姉 ※萌華視点

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 ――お兄様はどうして私を妻にしてくださらなかったの!?  冬雪が嫁いでから、ずっと私の心にある言えない言葉。  私がお兄様を愛してるって知ってるくせに、妻に迎えたのは私じゃなかった。 「ひどいわ……」  ずっと憧れていた私のお兄様。  お兄様は天狐(あまぎつね)の力を持つ。  普段は黒髪と黒い瞳だけど戦神(いくさがみ)になると、銀の髪と青い瞳に変化するという。  だから、亡くなったお父様は名前を蒼也(そうや)と名付けたと言っていた。  まだ見たことがないけれど、普段でもお兄様は美しい。  怨霊と戦う戦神たちは神と人間、半分ずつの性質を持って生まれ、人間離れした美しい容貌をしている。  だから、普通の人間より綺麗な人が多く、人々からの――特に女性からの人気がとてもある。  当然、お兄様に憧れる女性は星の数ほどいて、私に恋文を渡してほしいと頼んでくる女性が後を絶たなかった。  もちろん、恋文や贈り物なんて、お兄様の目に触れる前にすべて処分し、女性が近寄ってきても邪魔をして、近寄れないようにしてやった。  私の守りは完璧。 「それなのに、どこで冬雪(ふゆ)と知り合ったの!?」
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