4 離縁された妻の決意

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「女の子? なんで、女の子が中に?」  突然、さっきまで誰もいなかったはずの玄関に、何人もの人が現れた。  それも軍服を着た男の人たちが――あり得ない。  さっきまで気配すらなく、誰もいなかった。 「もしかして、迷子かな?」 「もう外は暗いし、家に帰ったほうがいいぞ」  軍服姿の彼らに共通すること。  それは、全員が人間離れした美貌を持っているということだった。  ――もしかして、旦那様と同じ戦神(いくさがみ)では。  彼らが戦神なら、私は自分の役目を怠り、仲間を行方不明にさせた悪妻。  今日、高野宮家で向けられた冷たい目と激しい罵声を思い出し、足が震えた。  私はここにいてはいけない人間だ。 「ご、ごめんなさい」  この場から去ろうとした私を大きな手が阻んだ。 「待った。ここでなにか悪さでもした?」  色素の薄い茶色の髪と瞳をした男の人が、私の逃げ道を塞ぐ。  なにもかも見通してしまうかのような目が私を射抜く。 「あ、あの……通してください」 「駄目」  私よりずっと身長が高く、見下ろされると威圧感がある。  それだけじゃない。
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