4 離縁された妻の決意

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 申し訳なさそうに言った幾久子さんは言ったけれど、私は志郎さんの言葉に傷ついたわけではなかった。  ――なにもわかっていなかった自分が情けないだけ。 「志郎がごめんなさいね」 「志郎さんは悪くありません。わからない私に説明してくれているだけなんです」  幾久子さんは私が高野宮家の嫁だから、火守り姫としての知識をすでに持っていると思っている。  でも、志郎さんは高野宮家で、私と一度会っていた。  だから、私がなにも知らない無知な火守り姫であるとわかっているのだ。 「幾久子さん。私はどうして提灯に火を灯すのかさえ知らない火守り姫なんです」  言っていて自分自身が情けなく、泣き出しそうになる。  私が火守り姫や戦神、異界のことに詳しかったら、旦那様が行方不明になることもなかった。  お義母様に高野宮家を奪われることも―― 「志郎さん。私に異界や火守り姫のことを教えてくださいませんか?」 「教えるのはいいけど、異界で蒼也を探すのは無理だよ。俺たちでさえ、見つけられないし、普通の人間は長く異界にいられない」
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