4 離縁された妻の決意

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「柊木少尉。異界に人間を連れていくのは危険です! 怨霊が来たらどうするんですか!」 「普通の人間を異界へ連れていったのが上にバレたら減給ものの謹慎処分です!」  誰もが止める中、志郎さんは少しも動じず、私に手を差し出した。 「異界へ行って自分の目で確かめたらいい。君が照らしていた向こう側の世界が、どんな世界なのかを」  ――黄昏時、提灯に火を灯すのが私の仕事。  私が照らしていたのは現世ではなく異界の闇だった。  異界は人が足を踏み入れてはいけない場所。  踏み入れてはいけないとわかっていながら、私は志郎さんの手を迷わずとった。  夜が深まる中、私は志郎さんとともに異界へ渡ることを決めたのだった。
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