第10話 決意

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第10話 決意

 間に合うか…!私の魔法で岩が壊せるか…! マリィの元へ走り、マリィに抱きついた。 まだこの魔法のことはよく分からない。けど出せるならやるしかない! 「こい!魔法のシールド!」 グリジアと闘ったときと同じ魔法を出そうと深く念じた。  すると、前に出した白い煌めくシールドが現れた。 「な…!? 魔法 四大魔術 じゃない!?」 四大魔術…?いや、今はそんなこと思ってる場合じゃない!  シールドは岩に衝突し、私の腕に衝撃が走った。 少しでも気が緩まぬようにしないと…!  一旦防げたものの、まだ油断できない。 防いだ岩は崩れず、私のシールドの上に居座っている。 このままじゃ押し潰される…!  すると、マリィが立ち上がって私のシールドを触ると、 「これなら 私の魔法 使える。」 そう言い放つとマリィは手を構えて魔法を唱えた。 【風魔法 風刃(ウィンドカッター)】 鋭く強大な緑色の刃が、岩に直撃した。すると、岩は少しヒビが入った。 「何度 打つ 壊せるかも シールド 任せる」 マリィは何度も打とうとまた構え始める。  マリィは何度も風刃(ウィンドカッター)風刃(ウィンドカッター)風刃(ウィンドカッター)と唱え、岩を壊そうとしていく。 しかし岩はヒビが入るだけで崩れる気配が無かった。 マリィも魔法の限界なのか息切れが激しくなっていた。 「はぁ…はぁ…! ぐ… 【風刃(ウィンドカッター)】!」 そう唱えるとマリィは倒れた。 「マリィ!!」 「ま…魔力切れ…。」 まずい…!私はシールド出したまま攻撃魔法は使えない…!  それに…私も出し続けるのがキツくなってきた。   このままだと死ぬ…!何か方法は…! 考えても考えても最適解は見つからず、徐々にシールドも小さくなっていく。  するとマリィは泣き始めた。 「ごめんなさい… 私が バカ博士 道具 取ってなければ」 「マリィのせいじゃない!マリィはよく頑張ったよ!」 それに、マリィを庇ってなくても私も巻き込まれてた。 マリィは悪くない。  けど、そろそろ魔力が切れそうだ…。 シールドを小さくして魔力を抑えているが、限界だ…。 自分で何となく魔力が切れかけてることに気づき、気を確かに持つが、意識が遠のいてきて倒れかけた。  その時だった。 【岩の銃弾(ストーンバレット)‼︎】 誰かの声と共に岩が派手に崩れていき、同時に私のシールドも切れた。 魔力切れなのか、体が相当重たくてめまいがした。 誰が壊してくれたのか顔を動かして声のした方を見てみると、そこにはリヤシがいた。 「ギリギリ間に合ったか…、2人が来るの遅いから戻ってきたんだよ…。」 リヤシは安心したかのように胸を撫で下ろした。 するとマリィは体を起き上がらせてリヤシに抱きついて泣き喚いた。 「リヤシィ…!ありがとぉ!うわぁぁん!」 頭脳がどれだけ賢くても、やっぱり子供なんだな。 なんか安心した、今まで大人びていて近寄りがたかったけど、急に親密感が湧いた。  するとマリィは私の方に走ってきて抱きついてきた。 「シレネ! ありがとう! 私 守ってくれて!」 かわえぇえ! 可愛さのあまり抱きしめて、髪の毛乱れるほど頭を撫でた。  それを遠くから見てたリヤシは軽く咳払いをして、 「早く逃げるぞ、今度は助けれないからな」 はーい。と2人で言って、ハクレの道具を持った後穴の中へ逃げ込んだ。  少し進むと歩けるほど広くなって、さっきまで鳴っていた地響きが徐々に遠くなっていた。 さらに進むと階段があり、それを登った。 登りきるとそこは、町からある程度離れた山の頂上で出てきた。   出ると速攻ミモザに肩を掴まれた。 「シレネ!心配したんだぞ!てか顔色悪いな、大丈夫か?」 「ああ大丈夫…ただの魔力切れだよ…。」 そしてマリィもすぐハクレに抱きつかれていた。 「マリィィィ!!遅いから心配したよぉ!生きててよかったぁあ!」 「大袈裟…ではない か」 「あら、珍しく素直ね!」  すると、ハクレがマリィの持っているものに気づいて、 「え!私の道具!もしかしてそのために!!」 「バカ博士 これないと 死ぬから」 ハクレはその言葉を聞いて涙を浮かべて 「ありがとぉぉ!これないとあたい生き甲斐失ってたよぉぉ!」 そして私もハクレに道具を渡そうとそばに行こうとすると、先にハクレが気づいて、 「シレネちゃんも持ってきてくれたの!ありがとぉぉ!!」 そう言いながらものすごい勢いで抱きついてきた。 む、胸が!ちようど顔に当たって柔らか…。う、羨ましい…。  そういえば町は?そう思いながら周りを見渡すとそこは 現実とは思えない光景が広がっていた。 「ま、町が燃えてる…!?」 建物全てが燃えていて、地面もぐちゃぐちゃに荒れていた。 落ち着いたのかハクレが近くに来て、説明してくれた。 「あたいが来た頃はグリジアの手下がいてね、町の人構わず炎を辺り一面に撒き散らしてたんだよ。多分地面を掘り返してあたいたちの基地を探してたと思うよ。」 酷い‥しかも町の人を巻き込んでまで…。 ミモザは何かに気づいたようで顔を真っ青にした。 「これって…オレたちがこの町に来たから滅んだってこと…?」 た、確かに私たちが来てなかったら手下が来ることもなかった。無駄な犠牲もなかったってことになる。 するとリヤシが慰めるように近くに来て 「いや、元々この町は好きではない。それにシレネたちのせいじゃない。グリジアが元凶だ。」 「リヤシ…。」 リヤシの言葉を聞いて多少心が楽になった。 そして私は心に決めた。 「私はグリジアを倒すために、強くなります。この腐った世の中を私が終わらせます。」 グリジアがいる限りこの世界は汚いままだ。だから私が終わらせる。 私の魔力はグリジアに対抗できるって教会での闘いで分かったから。  するとミモザもそれに対抗するように 「オレもやる。シレネには助けてもらった恩義があるし、シレネのそばにいるって心の底から決めてたからな。」 ミモザ…! さらにリヤシ、マリィ、ハクレも 「俺も元からグリジアを倒すつもりだ。手伝えることがあるなら協力しよう。」 「シレネ 魔法 興味深い」 「あたいの研究でみんなを勝利に導きます!」 自然と涙があふれた。最初は一人で心細かったのに、今では頼もしい仲間がいる。 「ありがとう…!みんな…!」 「泣くなよ!シレネ!」 必ずグリジアを倒す。そしてこの混沌とした世の中を、私が救ってみせます! 第1章これにて完結です。第2章からシレネの魔法を究明していきますが、それはまた次回の話で…。
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