第12話 ワイバーン戦 前編

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第12話 ワイバーン戦 前編

 ワイバーン…!凄い…まるでCGの中にいるみたい…! あまりの迫力に目を奪われていると、突然ワイバーンが雄叫びをあげた。 その雄叫びは衝撃波を出すほど地面が揺れた。 「きゃあ!」 あまりの衝撃に体を崩してしまった。  するとミモザが駆け寄ってきて私を起き上がらせてくれた。 「シレネ!早く隠れろ!喰われるぞ!」 そうだ、ここは異世界であって現実。 死んでまた転生する保証もない。 悔しいが、今の私に出来ることは何もない。  私は木の陰に隠れた。その間、こっそり4人の戦う姿を覗いた。 ハクレは何故か興奮気味で、リヤシに話しかけていて、 「ワイバーンの素材は相当高値で売れるんだよ!だから傷つけないで倒そう!」 それを聞いたリヤシは眉をひそめながらも仕方なさそうに 「自分の命が優先!って言いたいけど今、反グリジア教の資金カツカツだし…仕方ない…。」 「やったぁ♪」 ハクレがぴょんぴょんしながら喜んでいるその後ろで、ミモザは震えていた。 「お、おい!オレモンスターと戦った事ないんだ!どうしたらいいんだ!」 リヤシは焦るミモザを落ち着かせるように近づいて言う。 「ミモザ、使える魔術の属性は?」 「ほ、炎だ!」 「じゃあワイバーンの羽を狙って燃やしてくれ!」 するとハクレは焦り始めて、 「ちょちょちょ!傷つけないでって!」 「羽は他の素材より安価なのは知ってるだろ?そのくらい許せ。」 「むぅぅ…羽だけだからね…。」 2人の会話がある程度終わると、まだ不安そうなミモザが口を開く。 「お、オレ炎の魔法上手くコントロールできる気がしないだけど…」 それを聞いたリヤシは自慢げにマリィの肩を叩き、 「大丈夫だ、マリィがいる」 肩を叩かれたマリィは自慢げに誇りながら、 「あい 風 炎 混ぜて 当てる」と話した。 おそらく、マリィの風魔法でミモザの炎をコントロールして、ワイバーンに当てるってことだろう。 それを理解したミモザは震えが少し落ち着いて、 「わ、わかった!マリィ、任せた!」 自慢げにマリィは微笑みながら親指を立てた。 「了解」  そのあともリヤシが次々に作戦を他3人に伝えていた。 そして、リヤシが合図をすると、一斉に攻撃が始まった。 「いくぞ!【炎魔法 炎弾(ファイヤーボール)】!」 ミモザが炎魔法を繰り出すと、それに合わせてマリィも魔法を唱えた。 「【風魔法 風弾(ウィンドショット)】」 マリィの風魔法はミモザの炎魔法と混ざり合い、火力を増してワイバーンの羽に直撃した。 ワイバーンは羽が少し燃えて、よろよろと体をふらつかせたが、体勢を整えてミモザたちへ炎を吐いてきた。  するとリヤシがミモザたちの前に駆けてきた。 リヤシは地面に手をつけて魔法を唱えた。 「【土魔法岩壁(ストーンウォール)】!」 繰り出した魔法で地面が岩の壁が生えてきて、ワイバーンの炎を防いだ。  そのあとハクレが「さすがリヤシ!」と言ったあと ハクレが前に立ち、空に向かって手を上げた。 「水の質量舐めないでね! 【水魔法 滝壺(ウォーターフォール)】!」 ハクレが唱えるとワイバーンの上空に、激しく水が滝のように降ってきた。 その水はワイバーンに直撃し、地面に叩きつけた。 ワイバーンは水の重さに圧倒されたのか地面でもがいていた。  ハクレはその場を離れてリヤシの近くに寄った。 「リヤシ!とっ捕まえて!」 「言われなくても!」 リヤシは既に構えていて、何か大きな物体が浮かんでいた。 その物体はワイバーンを囲んで造り始め、気がつけば檻のような形した岩が出来ていた。 地面でもがいていたワイバーンは無事檻の中に収まった。 4人とも無事終えたと安堵の息を吐いていた。 そう思うのはまだ早いとも知らずに…。
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