第13.5話 4人の力

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第13.5話 4人の力

 シレネがワイバーンに連れ去られた後の話… 「シシシシシシシシシレネががががが」 「ミモザちゃん、落ち着いて!」 シレネがワイバーンに連れ去られて、ミモザはその場でウロチョロしながら焦っていた。 「分かってるよ!!でもこのままじゃ!!」 「シレネちゃんはきっと大丈夫…!マリィちゃんも何か言って…!」 そう言ってマリィの方を見たが、マリィは… 「………シレネ………。」 シレネが連れ去られていたのが相当ショックなのか、その場で立ち尽くしていた。  すると冷静に考えていたリヤシが口を開いた。 「一応、シレネを助ける方法はある。」 それを聞いたミモザとマリィはリヤシに突っ込むように迫ってきた。 「ほほほほほほんとか!!どんな方法だ!?」 「教えて シレネ 何があっても 助ける。」  リヤシは焦る気持ちを抑えながらも説明した。 「ワイバーンは空へと上がっていった。つまり高いところにいるだけで遠くには行っていない。だからもしかするとシレネは空中で喰べられない限り落ちてくると思う。」 それを聞いたミモザとマリィ、さらにハクレまでも顔を真っ青にして、 「そ、それってシレネ生き延びる方法はほぼほぼないんじゃ…。」 「リヤシ 薄情者 ひどい。」 「冷静に何言ってるの!私たちで落ちてきたシレネちゃんを掴まえろっとでも言うの!?」 「最後まで話聞けよ!!」 こういう個性豊かなメンバーをまとめるリヤシは、いつも苦労している。  リヤシは慌てながら話を進めた。 「まずマリィ!風魔法で上昇気流をつくってシレネを出来る限り浮かせろ!」 マリィは不満そうな顔をして言う。 「落ちるスピード 緩やかにはなる。 でも浮かせれない。」 「そしてハクレ、地面に水を張って衝撃を抑えてくれ!」 ハクレは難しい顔をして言う。 「いくら落ちるスピードが遅くなるとはいえ、相当高いところから水におちたら、水でも岩のように硬くなるわ。」 さらに、マリィはリヤシに迫って話を進める。 「それに シレネ どこに落ちてくるか 分からない 落ちてくるかも 分からない」 「ぐ…そうだった…!」 リヤシも流石にお手上げでどうしようもない状態になった。  すると、空から白く輝く光が現れた。 「何!? 何あれ!?」 ハクレが慌てているとミモザが気づいたようで、 「シレネだ!シレネの魔法だ!」 「シレネ!? てことは生きてるのか!!」 「シレネちゃんの魔法…美しい…。」 みんなでシレネの魔法に惚れ惚れしているとマリィが慌てて走り、 「シレネ 助ける リヤシの作戦 やる」 そう言うとマリィに続いてハクレも走り始めて、 「可能性は低いけど、助けないよりマシ!リヤシの作戦やるわ!」 「悪い…ありがとうな!」 リヤシが申し訳なさそうにしながらも微笑んで、リヤシとオレと共にハクレの後に続いた。 オレにも何か出来ないだろうか…何か考えてみると、一つあるものを思い出した。 「リヤシ!オレの魔法使えば、シレネを空中で掴まえれるかもしれない!」 走りながらリヤシはどういうことか?と聞いてきた。 「オレの炎魔法を足に溜めて、爆発させる。そしたら高くて跳べるはずだ!」 「そんなことできるのか!?」 「シレネに提案されたんだ、とんでもない発想力だよ。」 「シレネ…一体何者なんだ…?」 「さあな、聞きたいことは本人に聞けばいいだろ。」  2人で会話していると大きな地鳴りが、辺り一帯に響いた。 何事!?と驚いて先の方を見ると、ワイバーンが地面で倒れていた。 「リヤシ!」 「あぁ…!シレネがこの近くに落ちてくる…!」 空を見上げてシレネを探すと、シレネがジタバタしながら落ちているのを見つけた。 リヤシがマリィに向かって叫ぶ。 「マリィ!!風魔法を!!」 マリィの方に目をやると、地面に巨大な魔法陣を展開していた。 「もう準備 できてる。【風魔法 風陣(ウィンドエリア)】」 すると、魔法陣の近くにいたオレでさえ浮きそうになるくらい、強い突風が下から吹いてきた。 シレネは風にあおられ、少し落ちるスピードが落ちたかと思いきや、体が回り始めて不安定になった。 でも大丈夫。オレがシレネを助ける…! オレは足に魔力を集中させて、炎魔法を唱えた。 「【炎魔法 炎射(ファイヤバースト)】!」 爆発させると同時に高く地面を跳んだ。 予想以上に早いスピードでシレネの元に近づき、シレネに掴まえるよう手を出した。 「シレネェェ!!掴まれぇぇ!!」 しかし距離があと少しで届かなかった。 まずい…!シレネだけじゃなくてオレもこの高さはマズい…! シレネに必死に手を伸ばしていると、遠くから声がした。 「【岩魔法 浮岩(フロートロック)!!」 その声がした後、オレの足元に小さな岩が現れた。 なるほど…!ナイス、リヤシ!! リヤシが造り出した岩に乗って、シレネに向かって高く跳んだ。  それから何とかシレネを救出することができ、シレネは涙を流していた。 よほど怖かったんだろうな…。 しかし、シレネ…あんたは一体何者なんだよ…。 未知の魔法を使って、誰もが想像つかないことを思いつくなんて…。
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