第14話 素材の使い道

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第14話 素材の使い道

 やっとひと段落して落ち着いたころ、横たわっているワイバーンをどうしようか会議が始まった。 お金儲けとはいえ、高く売れない素材もある。 そのため売れない素材は自分たちで活用するらしい。  例えばワイバーンの爪、硬いけど加工しづらいからあっても仕方ないらしい。 逆に皮膚は剥ぎ取って防具にしたりするから高く売れるという。 あれ?このワイバーン、どうやって運ぶの? 疑問に思いながら3人の行動を見ていると、ハクレが突然詠唱し始めた。 「いでよ!【アイテムボックス】!」 そういうとワイバーンは輝きながら消えていった。 「え!?アイテムボックスあるの!?」 脱出するとき実験道具を手に持ってたし、てっきりこの世には存在しないのかと思った。 「うん!でもあたいのアイテムボックスは下級でね、時間や状態はこの世と同じなんだ…。」 あ、だから実験道具は手に持ってたのか、中に入れて溢れたり割れたら困るからね。  「じゃあ行くか、へウルス町で解体してもらおう。」 「へウルス町?それってどんな町?」 「へウルス町はそれなりに大きな町で、俺たちは魔物を解体してもらうために行ったりしてる。」 ハクレがうんうんと頷いている。ハクレは魔物運んだりしてるからね。  すると、ミモザがおそるおそるリヤシに話しかけた。 「えっと…オレたち行っていいんかな…?」 リヤシはなんのことだ?と聞き返していた、私はどうして?と思い、首を傾けていた。 ミモザがまぁそれだけじゃ分かるわけないか。とため息ついたら、 「オレたち、グリジアに追われてるから、またあの時みたいに滅ぼされないかなって。」 あ、確かに…。私たちは町の外で野営した方がいいかな…。  するとハクレは微笑みながら答えてくれた。 「大丈夫よ!へウルス町は武力に特化しているから、グリジア様の手下程度じゃ、町は平気よ!」 「なら!オレたちも行っていいのか!はぁ…!」 ミモザは安心したみたいで胸を撫で下ろす。 ミモザはきっと、私たちが来たせいで町が滅ぼされたと、責任を感じていたのだろう。 すると、ハクレがそれを察したのかミモザを抱き締めていた。 「ミモザちゃん、悪いのはぜーんぶグリジア様よ。だからミモザちゃんと、シレネちゃんは何も気にしないで。」 母性…!なんて人だ!その母性は全部胸にいったんだろうな…。  するとミモザが苦しみ出して腕をジタバタし始めた。 「苦しい…あと恥ずかしいって…。」 「あ、ごめんなさい!」 そういってハクレは離した。ミモザはその場を離れて息を整えていた。 あの胸に押し潰されてはまともではいられなそう…。  そう思っているとハクレが私の方を向いて笑顔で話しかけてきた。 「シレネちゃんもぎゅーする?」 「え、あ、いや、大丈夫!」 ハクレはえー、と残念そうに息を吐きながら肩を落とした。 悪いとは思ってる、ただ圧がすごい。何がとは言わないが圧がすごい。  するとマリィがハクレの裾を引っ張ってきた。 「早く いくよ 疲れた 眠い」 「あら、そうね。じゃあこの辺にしときましょ!」 リヤシはため息をついて、荷物をまとめて持った。 「ここからへウルス町はそこまで遠くない。早く行って事を済ませよう。」 「「「「はーい」」」」 そういって私たちはへウルス町に向かった。 その道のりは特に危ないわけでもなくただスライムを狩ったり、 未知の生物に会ったりで面白い旅だった。  日が暮れてきた頃、少しずつ商人らしい人々を見かけるようになり、 少し先をみてみるとそこに壁に囲まれたものが見えた。 「あれが…へウルス町!」
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