第15話 ヘウルス町

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第15話 ヘウルス町

 「あれが…へウルス町…!」 周りは石の壁に囲まれて建物の様子はわからないが、少なくとも立派な町なのは分かった。 門には警備している人がいて、グリジア軍とかモンスターには心配しなくても良さそうだ。  門を通ろうとすると、ガタイがいい門番にリヤシが話しかけられた。 「おうリヤシ!久しいな!」 リヤシは肩を叩かれて顔がひきつったまま笑顔で返した。 「痛いって、色々あったけど何とかやってるよ!」 その笑顔からは考えられないほど、色々あったんだよな…。  そう思っていると門番が私たちの存在に気づいた。 「おう?なんだその二人のお嬢さん方は?またハーレム作り やがって…」 ハーレム…?そういえばリヤシの周り女性しかいないよね…。 けれどリヤシは冷静な口調で言う。 「バカ言え、偶然女しかいないんだ。こっちの身になってくれよ。」 「本当に偶然かー?まぁいい!そちらのお嬢さん方の入国料金はタダでいい!」 門番が笑いながら私たちにガッツポーズをしてきた。 普通は入国料発生するんだ、これは門番さんに感謝しないとね。 私がお礼を言おうとする瞬間、ミモザが先に目をキラキラさせて門番の元に近づいた。 「いいのか!おじさん!」 「あぁ!その代わり定期的に顔見せてくれよ?」 門番のメガネ少しぎらついたのを見て察した。 あ、この目。前世の記憶と勘が訴えてる。 セクハラされる時と一緒。身体目的だな…。 まあ男はそんなもんだろうな。  とりあえずあまり目立たないように笑顔で軽くお辞儀したあと、すぐ門へ向かった。 リヤシたちは私の行動に少し不審に思われたらしいが、あまり深くは考えなかったらしい。 (あとからミモザに言われた。)  町の中は最初にいた町とは違っても活気に溢れていて、まさに異世界風の町といっても過言じゃない。 要するに欧米風ってことなんだけどね。  私たちはリヤシたちについていき、とある建物に着いた。 その中に入ると、生臭い匂いが辺り一面に広がっていて、思わず鼻をつまんだ。 周りを見渡すと得体の知れない獣の肉がぶら下がっていたり、血が床に染み付いてたりして気持ち悪かった。 けどリヤシはもちろん、ハクレもマリィもそれを気にしないようでどんどん前に進んでいた。 まあ異世界人ならそれが普通なんだろうな。 と、とりあえずミモザ助けてぇ…。 同じ教会で育ったミモザなら流石にこの惨状に耐えれないはず!  しかし、ミモザも何も疑問に思っていないかのように前に進んでいた。 わ、私が異常なの…?き、気持ち悪くなってきた。 「ご、ごめ、体調悪くなったから外出てくる。」 とりあえず外の空気吸わないとこの惨状に耐えれない! 4人に大丈夫?と声かけられたが今はそれどころではなく、出口に向かった。  やっと扉に手が触れた瞬間、左側に目線を感じた。 そのまま出た方が良いと、私の中では勘づいていた。 けれど、欲が先に勝ってしまい左側に目線を向けると、 ゴツい体した身長高い人が鉈を持って立っていた。 「ふぎゃゃああああああ!?!?」 そのまま私は後ろに倒れて気絶した。
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