18人が本棚に入れています
本棚に追加
第2話 脱出
まずはこの教会から脱出しよう。
自分の部屋から出てひたすらに長い廊下を
音を立てないように走る。すると、
「誰!?」
と叫ばれた後に襟を掴まれた。
まずい、見つかった…。
おそるおそる振り返ると、そこには…
「あなたは…ミモザ…」
ミモザ・マンサネラ。色黒で銀色の髪に青色の瞳。
シスターとは思えない露出高めな服装。
彼女の記憶ではあまり接点がない。名前を知ってて、怖いってイメージがあるくらいだ。
「こんな夜中に人と会うなんて…しかもシレネじゃん。何してんの?」
「…脱走です。ここから出ます。」
嘘ついても仕方ない。正直に答えた。
するとミモザはどこか諦めた顔をして、
「やめといた方がいい。ここは監獄みたいなところだから。」
「監獄…?」
教会だからすぐ脱走できると思ってた。けど監獄と聞いて、そう簡単にはいかないと察した。
「ここの外は教祖、グリジア様が生成したバリアで隔てている。通り抜けることはできないし、触れたらグリジア様にバレて、最悪お陀仏だ。」
グリジア様のことは記憶でわかる。相当な破天荒で、裏切りは拷問か処刑するという、悪魔だ。
それでも、私は教会にはいたくない!
「私は教会にいるよりマシだから。ここから出る方法を探す。」
そう言い残し去ろうとした。すると、
「待て、だったらオレもいく。」
「え…?」
あまりの意外な言動に足を止める。
そういえば、なんでここにミモザがいるんだろう。
「オレも脱走しようとしてたけど、ずっと悩んでた。
死ぬかほんの少しの希望にかけるか。けどあんたを見て決めたよ。」
そういってミモザは私にかけ寄り手を出す。
「だから、オレもついてきていいか?」
正直警戒はしてる。けどミモザの表情は真剣で、1人でやるよりマシかもしれない。
「…私でよければ。」
そう言って彼女の手を握った。
握ったミモザの手はとても暖かく、何故か安心するような気がした。
「さて、早く出入り口から出ましょう!」
そう言って行こうとすると、ミモザに引き留められ、
「いや、どうせそっちもバリアが張られてる。裏庭に出て無いところ探そう。」
確かにその方が可能性があるかもしれない。
そうと決まれば行こう…
バサっ
突然私の意識と共に視界が暗くなった。
しばらくして意識を取り戻した。
起き上がるとそこは知らない部屋にいた。
隣には横たわったミモザがいて、急いで体を揺さぶった。
何回か揺らすと彼女は目を覚まし、起き上がった。
「起きたな、裏切り者め」
太く低い声がして、声がした方に目をやる。
そこには黒いローブをまとった者がいた。
最初のコメントを投稿しよう!