第6話 ミモザの過去

1/1

15人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ

第6話 ミモザの過去

 無事脱走できてから私たちは森の中を走り、 いつの間にか森を抜けていて、朝になっていた。 森からある程度まで離れてから体を休めた。 お互い魔力と体を使ってヘトヘトだ。 すると、ミモザは急に泣き始めて、 「どど、どうしたの⁉︎ 」 「いや…やっと外に出られたと思ってさ…!」 そっか、シスターは基本的に教会に閉じ込められるんだっけ。 「シレネだって、いつも虐められてたのに、やっと解放されたんだよ!」 「え?あ、あぁ、そうだね。めっちゃ嬉しいよ。」 ミモザには申し訳ないけど、本当のシレネは死んでて、私はシレネじゃないんだ。 本当のシレネなら大泣きするほど嬉しいことなのに…。 そういえばミモザはどうやってシスターになったんだろう。そのことをミモザに尋ねると、 「あー、まあ私はシスターになりたくてなったわけじゃないんだ。」 私と一緒だ。私は親に捨てられた。 「私もだよ、ミモザはどうやって教会に来たの?」 「話せば長くなるけど、聞いてくれるか?」 もちろん。そう頷くとミモザは静かに笑って、話してくれた。  それは、7年前のことだった。 オレはまだ無邪気な子供で、可愛げがあった時期だった。 わたしは12歳の誕生日を迎えたばかりで、両親はこれでもかと言うくらいお祝いしてくれた。 その頃のわたしの考えは単純で、純粋にお祝いに喜んでいた。  けど、それはとあることが隠されていた。 次の日、わたしはいつものように朝起きていると両親が荷造りをしていて、 お金も大量に用意していた。 「何してるの…?」 そう聞くと、お父さんはニッコリ笑ってこう言った。 「教祖様にミモザを献上するんだ。」 「献上…?え?」 言ってる意味が分からなかった。 しかも教祖様…?誰…? するとわたしは両親に無理やりどこかへ連れられた。 しばらく歩いていると立派な教会に連れてこられた。 入り口に入ると白く輝いたローブを着た男性が出迎えてくれた。 「ようこそ、あなたが献上される子ですか?」 わたしの顔をマジマジと笑顔で見てきて気持ち悪かった。 助けて、と両親の顔を見ると、 「はい、この子を教祖様のために役立ててください」 そう言うと、わたしをその男性の元に押し出された。 え…?なんで…? 疑問に思っているとお父さんが大量のお金を持って、 「こちら、献上金です。お納めください。」 笑顔でお金を渡す。なんで…? 両親のあまりの変わりように動揺しているとお母さんがわたしの目線に合わせてしゃがまれると、不気味な笑顔で、 「ミモザ、あなたは立派なシスターになって教祖様に貢献してね」  し、シスター…え?わたしはシスターにはなりたくないよ…? そう言うとお父さんがわたしの方に向かってきて、 「ミモザ、お前はシスターになるべきだ。教祖様のためにな。」 そんなの嫌だよ、わたしはシスターなんかになりたくない。 「それじゃあ、よろしくお願いします。」 そう言うと二人はわたしを置いて教会を離れていった。 「待って!!お父さん!お母さん!置いていかないで!」  走って追いつこうとした。しかし、 「待てガキ、逃げんじゃねぇぞ。」 さっきの男性が教会の入り口を魔法でふさいだ。 それでもわたしはお構いなくふさがれたドアを叩いて必死に泣き叫んだ。 しかしドアは開かず、男性に無理やり連れられて、シスターへとなった。  それ以来、父と母に裏切られたと思い、性格と見た目がひねくれて今みたいになった。  「…というわけだ。」 ミモザの過去を知り、何とも言えない感情になった。 なぜミモザの両親はミモザを教会に差し出したのかは分からない。 けどどっちにしろ最低な親だ。娘を教会に差し出すなんて、 それでもミモザは教会で7年も耐え抜いた。 でもミモザは体だけじゃなくて、心も強いんだなって実感した。  「さて、そろそろ行くぞ。この辺の土地はわからんけど、歩いてたら何とかなる。」 「う、うん。」 正直不安はあるが、何とかなると信じて私たちは無限の可能性に向かって歩き始めた。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加