第7話 異常

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第7話 異常

 森を出てから数十分が経った頃、 私たちは過去について、これからについて話していると、 「なあ、あれ町じゃないか?」 ミモザが指差した先に小さいが建物が集まっているものが見えた。 「ほんとだ!じゃあそこ行ってみよう!」 今の私たちにはここがどこなのか、どういう地形かはわからない。  私は物心ついたばかりのときに捨てられたし、 ミモザはそういうのに詳しくないらしいし、 教会は情報を制限していたから知る由もなかった。  私たちはその町に向かった。 町はそこまで遠くはなく、数分程度で着いた。 アニメとかでよくある町を囲む壁があるが、警備の人はいなかった。 入国料取られないかヒヤヒヤしたが、何事もなく入れた。  その町は異世界系でよく見た市場が集まっていて、活気に溢れていた。  食べ物は野菜や果物があったが、中には1匹丸々の獣が吊るされていて、 慣れてない私は少し気持ち悪くなった。 するとミモザが、 「なぁ…腹減ったけど…金ないよな?」 「…ない…ね。」 そもそも教会でお金がシスターに分けられるわけないし、 この世界の金の単位すらわからない。 やっぱお金は現代でも異世界でも必須なのね…。  どうしようか悩んでいると、周りが私たちを見てざわつき始めた。 「ねぇ…私何かやった…?」 「いや…何も盗んでいないよな…?」 2人でこそこそ自分の周りの物調べたが特に怪しいものはなく、 とりあえず何事もなかったかのように歩いた。 歩くに連れて周りのざわつきが激しくなっていて、情報を集めれる雰囲気ではなかった。  すると1人の男が私たちを指差して叫んだ。 「あのシスターは裏切り者だ!ひっとらえろ!」 その言葉を聞いた人々は私たちに向かって走ってきた。 「なに!?なに!?」 何がなんだか全く分からない、裏切り者? …グリジアもそう言ってたような…? 私が混乱しているとミモザが私の手首を掴んで、 「とにかく逃げるぞ!」 そう言って走ってった。  人の大群は20人、30人と増えていき、キリがなかった。 「ミモザ、きっとあの人たちはグリジアに関係がある!」 「あのグリジア?チッ!どこ行っても捕まえてやるってことか!」  まずい、このままだと追いつかれる…! 教会に戻れば必ず殺される。 何か…何か方法は…!  すると、私の過去の記憶から一つアイデアを思いついた。 「ミモザ!魔力ある?」 「はぁ?魔力?一応半分は回復してる!」 「魔力を足に集中されることはできる?」 「足!?シレネ、あんた何を…?」 「説明してる暇はない!出来る⁉︎」 「やってみないと分からない!」 「お願い!やってみて!」 ミモザは体を光らせて集中している。 しかし走りながらだから出来るだろうか…? するとミモザは微笑み、 「出来たぞ!それでどうする?」 「じゃあ私をしっかり掴んで足元を爆発させて!」 私の作戦、炎の魔力持ってた人が炎を爆発させて、 とてつもない早さで進んだ記憶がある。  それをミモザが理解したようで、 「なるほど!任せろ!」 するとミモザは私をお姫様抱っこで抱えて、 足元を轟音と共に爆発させた。 私の考え通り、ものすごい早さで人の大群から引き離した。    てかミモザすごぉ…よく成功させたな…。 あとわざわざ抱えたくれたし、ミモザが男なら惚れてたかも…。  人の大群から大きく離れた後、私たちは路地裏に行って隠れた。 息を潜めて騒ぎが収まるのを待った。 すると路地裏のさらに奥から小さな少女が私たちに迫ってきた。  まずい…!どうする…! 考えがまとまらない中、少女が近くに来てどうするか悩んでいると、少女の口が開いてこう言った。 「あなたたち、反グリジア教に入る?」
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