第9話 避難劇

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第9話 避難劇

 「た、大変です!グリジアの手下が町に…!」 もしかして…町の人が私たちのことを伝えたのか…! まずい、グリジアがこの反グリジア教を知ったら絶対殺しにくる。 なんとか…なんとか乗り越えないと…!  すると、リヤシが全員に聞こえるように話し始めた。 「大丈夫だ!この組織は絶対的な隠蔽で漏れないようになっている!だから心配するな!」 リヤシの言葉に私は安心した。こんなに心強い人がいるって、とてもありがたいと実感した。  そのとき、ミモザがリヤシに問いかける。 「なあ、本当にここにはグリジアに反対する奴しかいないのか?」 ミモザの言葉に疑問を持った。 どうしてグリジアに反対する人を集めれたのか。 グリジアに反対すると言うのは自殺行為だ。 それをたくさん集めれたのは不思議だった。  するとまた胸でかい子…ハクレが現れて答えてくれた。 「ジュースの際の呼びかけで7.8人集まって、その後、あたいの研究で10人程度正気に戻したよ! まぁ、数人程度失敗して逃げてしまったんだけどね…。」 ……それ…。 ハクレの話を聞いていたリヤシが血相を変えてハクレの肩を持った。 「ハクレ!!それを早く言え!その数人がこの組織の存在を知ったままなんだぞ!」 それを聞いたハクレは口を開けて納得したかのように。 「あぁ〜!確かに!」 「確かに!じゃないよ!なんてことを!!」 リヤシが鬼の形相でハクレを睨む。 いやてことは!ここの場所も知られてるってことじゃん! ミモザも事の状況を把握し、慌てふためいている。  すると遠くからマリィが来て、何か言い出した。 「あそこ 脱出 町 外。」 マリィが指差した場所に小さな穴があった。 あの穴から行けば町の外へ脱出できるって事だろうか。 それを聞いたリヤシはハクレをつかんだ手を離してマリィに近づく。 「ほんとか!出来したマリィ!」 マリィは少し照れたのか顔を背けて、 「バカ博士 ミス カバー した」 「ありがとぉぉぉ!マリィちゃん〜!!」 ハクレはマリィに抱きついて泣き始めた。 これじゃあマリィが姉っぽいな…。 「そんなことより早く逃げるぞ!」 ミモザが大声で叫んで穴に入っていった。 それに続くように色んな人達が穴の中に吸い込まれるように入っていった。 そして私も3人の様子見てから逃げようとしたら、  ハクレが大量のフラスコや試験管を持っていて、 「これと…あとこれも…いやこれも…!」 それを見たリヤシがまた睨んで、 「ハクレ〜!そんなものより早く逃げろ!!」 「ひどい!あたいの大事な実験道具なのに!」 「命とそれどっちが大事なんだよ!!」 二人でずっと言い合いをしていて、マリィが呆れていた。  すると、上のほうから爆発音がして地面が揺れた。 「きゃあ~!なになになに!!」 ハクレがまた慌てふためいている。 もしかして…手下が入ってこようとしている!? 冷静になろうと慌てる気持ちを抑えようとするが、グリジアのあの圧を思い出して怖くなった。  するとリヤシが我慢の限界なのかハクレの腕をつかんで脱出口へ走った。 「ちょ!、あたいの実験道具が!!」 「そんなこと言ってる場合か!」  そのまま穴の中に入ろうとしたが、ハクレが潜る最中で止まった。 「…胸きつい…。」 それを聞いたマリィはため息をしてハクレのほうに手を出すと 【風魔法 竜巻(ウィンドハリケーン)】 マリィがそう唱えると手から風が吹き出て、ハクレに直撃した。 「ちょ!? 今魔法唱えた!? 強引!!」 ハクレは文句言ったまま穴に押し込まれた。 「胸 でかいやつ 悪い」 ほんとそれ、ていうか7歳くらいの子がそれ言うかな?  そう思っているとまた地響きが起きた。 「急いで 死ぬよ」 「う、うん。」  マリィに導かれるがままに脱出口へ入った。 しかし、後ろを振り返ると、マリィの姿が見えず、心配になって戻ってみると、  マリィはハクレの道具を集めていた。 「マリィ!早く逃げなきゃ死ぬよ!」  私の声を聞いたマリィは見られたらいけないかのような表情をして話し始める。 「バカ博士 大事なもの 持っていく。」 や、優しい…!冷たい子だと思ってたけどツンデレだったのね…!  萌えが暴走した私はすぐさまマリィの元へ駆け寄って、 「わたしも手伝います!」 「い、いいよ。」 「遠慮しない遠慮しない!」 ハクレが集めかけてた道具を地道に集めていく。 地面が何度も揺れて、机の上にあったフラスコが落ちて割れていく。  そのとき、マリィは察したのだろう。   「もう無理 早く 逃げる」 「そうだね!早く穴の中へ!」  そういって集めてた道具を持って穴に入ろうとした。 そのときだった。また地響きが鳴ったかと思えば突然天井の岩が崩れ始めた。   その岩が、マリィの上に落ちてきた、 「わ 風魔法… 無理 大きすぎる」 マリィに落ちてきた岩は相当大きかった。 風程度で岩が防げないと、マリィは諦めようとした。 「マリィ!!」 間に合うか…!私の魔法で岩が壊せるか…!
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