Nightmare

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Nightmare

肺の中まで熱く湿った空気が充満して、息が詰まりそうになる。生ぬるい雨が容赦なく降り注ぎ、脳天からじっとりと重たく滴り落ちる。 ああ、またこの感覚は―― 辺りを見回す。きっとここにいる。何処かに、近くに、絶対に。 高い木々から低いものまで一面緑だ。ジャングルというやつだろうか。遠くでなにかの鳥が鳴くのが聞こえた。雨が降っているのに、木々の隙間から覗く空はやたらに明るい。だが、陽射しが地表に届くのを奪い合うほどに、この地の主たる植物たちは鬱蒼と茂っている。地面は雨のせいなのかぬかるみ、足をとられる。 連続した乾いた音が耳に届く。 嫌な予感がする。呼吸が荒くなって、耳障りだ。早く探し出したいのに、深い泥が両足をつかんで離さない。 何語かわからないが、怒号のようなものが後ろから飛んだ。同時に気配が満ち溢れて、静寂を打ち破る。 来た! 反射的に大木の近くで身をかがめる。爆発音が耳をつんざく。鼓動が跳ね上がる。続いて乾いた音の応酬が始まる。おそらく、あれが銃撃戦というやつだ。さっきの爆発は火炎瓶だか手榴弾だか、そんなのはどうだっていい。 はやく、見つけ出さないと…! 辺りを見回しながら、なるべく水音をたてないように動く。何かの戦闘に巻き込まれたのは確かだが、自分は一介の高校生であり、彼らの主義主張など知ったことではない。 人影を木々の向こうに見つけ、動きを止めた。そいつが向けた銃口の先を見やる。 「!」 危ない、という言葉を発する間も惜しく、俺は走り出す。泥ですべって、転びそうになる。追いつけ、この体! あいつのところまで! 雨に打たれ立ち尽くす姿にしがみつくように飛びついた。そいつと倒れ込む瞬間に、肩に熱い衝撃が走った。 撃たれた、っていうやつかも…
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