2.歌がきこえるー実玖sideー

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ご両親に何か失礼なことをしてしまっただろうか。 でも、そこまで言われることをしたかと聞かれればそんなことはないし、婚約者の彼からもそうは言われていなかった。 要は、単純に私のことが気に入らなかったのだ。 婚約者は必死で説得したらしかったけれど、やがて疲れが見え始めていた。私は“実は認められていなかった”という事実にショックを受けながらも、彼を励ましつつ、どうしたら認めてもらえるかを必死に考えていた。 そうこうしているうちに、婚約者から話があると言われた。 「ごめん…もう無理だ」 この“無理”というのは、説得が“無理”だったということ、それと同時に結婚も“無理”になった、ということを意味していた。 婚約者は両親を説得できなかったから、私と別れることを選んだのだ。 悲しくて悔しくて、泣いても泣いても足りなかった。 “良いところが1つも見つからない”って何だろう…。 結局彼が私を選ばなかったのも、そういうことなのだろうか…。 だったらこの2年半はなんだったのだろう。 そんな想いでいっぱいだった。 その後、事情を知った家族や友達がすぐに駆けつけれてくれ、寄り添い、励ましてくれた。 そしてしばらくは仕事に集中しようとしていたのだけれど、自分が考えている以上にショックが大きく、また仕事が多忙を極めていたこともあり、気が付くと身体に様々な症状が出始めていた。 立ち眩みや耳鳴り、時には話が理解出来ない、など、明らかに日常生活に影響が出てしまうようなものだった。 休みを取って病院に行くと、ストレスによる症状だということが分かった。
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