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大人しそうな外見とは裏腹に、意外とグイグイと来る彼女…実玖に若干の戸惑いを覚えつつも、嫌な気持ちにはならなかったし、むしろ居心地の良ささえ覚えていた。
「ずっとストリートで音楽活動を?」
お互いの自己紹介を終え、実玖が質問をしてきた。
「うん、もう3年…4年目、かな?なかなか芽が出なくて困ってるけどね…」
苦笑いをしながら俺は実玖に話した。
「格好悪いよな…初対面でこんな話をしちゃって」
「そんなことないです!」
実玖は真っ直ぐに俺を見ながら、声を上げた。
「柊希さんの歌、すごく素敵でした!」
「あ…いや、それはありがとうございます…」
「あの…私、本気で言ってますよ?」
絶賛してくれる実玖の言葉に半信半疑だった俺は愛想笑いで返したものの、どうやら彼女に見破られていたらしかった。実玖はじろっとこちらを向きながら本気だと主張した。
「…私、いつか柊希さんがライブで歌っているところ、見てみたいです」
実玖がふわっと笑いながらそう言ったとき、少しだけ心臓が跳ねた気がした。
「えっ…あ…、そうだ!ストリートライブで良ければ今度やるけど…」
きっと気のせいだ、と思い、慌てて俺は取り繕う。
「え?そうなんですか?」
「うん、えっと日時と場所は………」
実玖に自分のスマホを見せながら、ストリートライブの情報を教えた。ついでに俺のSNSアカウントも伝えておいた。
今日はたまたま会えたからこうやって伝えられたけれど、次に会えるとは限らない。
ライブも…そもそも本当に来てくれるかは分からない。
しかし、そんなことを思わせないくらいの笑顔で彼女は「ありがとうございます!絶対行きますね」と言った。
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