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『起きろ。』
地獄の底から響き渡るような低い低い低い声に意識を覚ます。
ここはどこ?わたしはだれ?
辺りを見回すがどこまでも漆黒が続く謎の空間だった。
そもそも自分自身の存在さえも分からない。
何も覚えていない。両手を見るも何の変哲もないただの手だ。
鏡があれば自分の姿を確認することもできたかもしれない。
だがこの黒いだけの空間では空気しか存在していないのだ。
『約束を果たさなければ。』
空間を引き裂き大きなひとつの目が私の前に出現した。
その目にギロリと睨まれると思考がどろどろと溶けていく。何も考えられない。
ただ私の頭の中は"約束を果たさなければ"という強い意志で埋め尽くされていた。
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