1人が本棚に入れています
本棚に追加
「安心してください。見つかりましたよ。」
私はそう言って可愛らしいウサギのキーホルダーが付けられた鍵を差し出す。
依頼人である女性は何度も頭を下げてお礼を言ってくれた。
依頼人と別れ公園のベンチに腰かける。
「……これで1000円。」
受け取った封筒の中身を確認しカバンに入れる。
私は祓魔師だ。紛れもなく祓魔師だ。
財布には認定証もある。実力を見れば下の下の下の下の…だが。
ため息をつく。
挫けたところで仕方ない。
組織に所属しない祓魔師が辿る末路なんて飢え死にか、悪魔に殺されるか、この二択のみなのだ。
ーまあ祓魔師を辞めるという選択肢もある。
(いや絶対に辞めない。)
今日だって、ただの落し物探しではない。
鍵を落とした場所に悪魔の出没注意があって、一人で探しに行くのは困難だから私を頼ってくれたのだ。
これだって祓魔師としては立派な仕事!
立派な…。
グゥーーーー…
情けない音がお腹から鳴った。
「お腹空いた…」
こんなところで弱音を吐いたところでお腹は満たされない。
財布を確認しつつ重い足取りで商店街の方へ向かうことにした。
最初のコメントを投稿しよう!