西島香澄

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私はママが20歳の時に産まれた。 その時パパも20歳。 若い夫婦だった。 今私は15歳だからママは35歳。 年よりも全然若く見えるし、色白でそこら辺では決して見ないような美人さんだった。 子どもの私から見ても本当にキレイな女性だしお茶目なところと天然なところがスゴく魅力的な人だった。 肩より長い髪はいつもうしろで束ねられて、それがもの凄く似合っていて素敵だった。 でもママの美貌と魅力的なところは日常的な暮らしの中で埋もれてしまっていた。 それでも男性に言い寄られることも多かったと思う。 だけどママには特定の男性がいるようには見えなかった。 オシャレには無頓着だし、化粧もあまりしないし、男性を意識しているようには思えなかった。 私はママが男性と付き合うことには反対はしていないし、むしろ好きな人ができて幸せになって欲しいと思っていた。 今までシングルマザーでとても苦労したんだから、それくらいは許されてもバチはあたらない。 毎日毎日、朝から晩まで働いて大変だったと思うし、今だって大変だと思う。 私がいなければこんなにも苦労もなかったと思うし、好きなことも出来ていたと思う。 疲れたママの顔を見ていると申し訳ない気持ちでイッパイになる。 だからママの負担が少しでも軽くなるように、私も高校に入って直ぐにバイトを始めた。 自宅から自転車で10分の距離にあるファミレスで働いた。 私の仕事はお客から注文を取ったり、出来上がった料理をテーブルに運ぶといったものだった。 そういう訳で部活に入るという選択肢はなかった。 また、ママも朝から晩まで働いてはいるけど、うちは決して貧しい訳ではなかった。 貧しかったら高層マンションに住むことは出来ないだろう。 ママのお給料ではこんなところに住むのは夢のまた夢。 きっとパパが用意してくれた家だろう。 パパは会いに来てくれたりはしないけど、私たちを影から支えてくれている。 私たちのをこと想ってくれてる。 嬉しかった。 きっといつかは私の前に現れてくれる。 ずっと願った。 ずっと待っていた。
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