西島香澄

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「香澄はお寿司が好きだったね? お寿司でも食べに行こう」 「いいの?」 「もちろん。行こう」 「やったぁ」 それから駅前の回転寿司の店に移動した。 店に着くまで、パパの手を握り決して離さなかった。 もう絶対に離さない。 ボックス席に向かい合って座ったけど、パパから目が離せないでいた。 見惚れてしまっていた♡ 何年もずっと会いたくて、会いたくて涙して、会いたくて叶わぬ希望を抱いて、無理だと思ってもそれでも会いたいと願って、一縷の望みを抱いて今日まで生きてきた。 そんな私の目の前にパパがいる。 信じられない思いと、現実に起こっているという実感がわかなかった。 夢なら醒めないで欲しいと願った。 「どうした? 好きな物をどんどん頼むといいよ」 「うん」 パパを前にして、緊張している私がいた。 パパが私を見ている。 パパの目に映る私はどんな女の子なんだろう? 9年ぶりに会った私はパパが思っているような女の子になれているのだろうか? 「何を食べるのが迷ってる? そしたらパパがとりあえず注文してあげるから」 私が他のことを考えていると、パパがタッチパネルを操作してお寿司を注文してくれた。 しばらくすると私の席に次々とお寿司がレーンに乗って運ばれてきた。 私の大好きなあおさの味噌汁、中トロ、炙りチーズサーモン、えんがわ、しめさば、えびアボカド、いくらがテーブルイッパイに並べられた。 どれも私の大好物ばかりだった。 パパは私の好きなお寿司のネタを覚えていてくれた。 嬉しかった。 それに、その中には中学生になってから好きになったお寿司のネタも含まれていた。 「好きだよね?」 「うん」 「良かった。足りなければ、また注文してあげるから」 「うん、いただきます」 話したいことや聞きたいことは山のようにあるのに、いざ話そうとすると興奮と緊張が入り混じって言葉が上手く出て来なかった。 とりあえずパパが注文してくれた目の前のお寿司を食べよう。 私は黙々とお寿司を口に運んだ。 美味しい。 やっぱりお寿司は最高だなぁ。 結局のところ、私はお寿司を13皿食べ、食後にはスイーツを食べた。 パパを眼の前にして緊張してたのにもかかわらず、結構食べたと思う。
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