悲しい随筆

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悲しい随筆

連休が暇で人と遊びに行きたがったが、 残念ながら友達は少なく、 その友も忙しいのだそうだ。 だが今日は無理を言って、 他校でもう旧友になる人について行った。 友人が許したとはいえ、周りからしたら 完全に異物の私は、輪に入ろうとも 自然に避けられてしまう。 お化け屋敷のチケット買ったが、 二人で行く定番の流れになったので 私はできるだけ読める空気を手繰り、 ペラペラの700円を出来るだけ遠くに 飛ぶよう、紙飛行機にして 失くしてしまうことにした。 チケットを探してくると言って、 来た道を辿り大きな柱のベンチに座った。 そこからの景色は、傘を持ち、 波のように揺れ動く人が行く雑踏が見えた。 彼らはきっと僕が下を見て探す振りを するときのようなもつれ方ではない 自然で不自然な歩き方をしていたし、 もっと首を振って楽しそうにしている。 かたわら、柱の奥まで入り込む若い喧騒は、 煩わしくもどこか羨ましくも感じていた。 それは遊園地だから当たり前の話ではないかと 思うが、場所に関わらずそういう空気は 苦手なのかもしれない。石床のスリップ音と ずっと滴る雨が融和してそういうコンサート ホールの空間かと思えるほど、微かな倍音が 聞こえてくる。ただの静けさを思い出すまで ため鳴る耳鳴りという奴かもしれないが。 こうベンチから眺めていると私は孤独という のをより一層感じてしまう。きっとあの紙飛行機 は誰にも届いてないし、今も飛ばした数メートル 先で雨に打たれているのだろう。 カバンに暇を潰す物探していると、 こうなるべくして持ってきたと言うような 小説があった。いつもとりあえず本を入れている ほとんど読むことはない、が、 まさかこう言う時になって読むとは。 やるせ無い気持ちを打ち消すように、 小説の世界に入り込むまいと、 頭を深く落として没頭してるうちに、 なんだかうとうとしてしまって、寝た。 どうやら間違えて夢の世界にいたようだ。 このままでは、今日あったいいことが 人生でも指折りにいい昼寝をしたことだけに なってしまいかねないと何か考えるよう努めた。 しかしスマホをただひたすらいじると言うこと しかできず。今こうして情けのない今日の日記を 書いていると言うわけだ。 なぜ来てしまったのか、 その後悔だけが文字に消化しきれずに このまま残るのかもしれない。 帰りたい。 家ではないどこかに。
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