高等部の生活(復讐の始まり)

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高等部の生活(復讐の始まり)

 いよいよ高等部が始まった頃には、笹森今日子もすっかり『大和学園』になじんでいました。  西園寺響子とは部活動以外ではほとんど一緒にいましたし、今日子のお弁当の中身もすっかり『大和学園』になじんだ物に変わっていました。  高等部になると、学食が使えるようになります。  大学生と同じ食堂になるので、緊張もしますけれど、楽しい雰囲気でした。  西園寺響子は相変わらず家で作られたバランスの良いお弁当を持ってきていました。  笹森今日子も節約の為、お弁当の事が多かったのですけれど、読書部の牧正臣と一緒に食べることも多くなってきていたので、殆どははお弁当を持って、時には学食のメニューから選んで、学食に行ってお昼を食べるようになったのでした。  もちろん、西園寺響子も誘って、他の生徒も混じったりして、一緒に学食でお昼の時間を過ごすのでした。  高等部になって、一か月ほどが過ぎた頃。ちょうどGWに入る少し前に、 「今日子ちゃん、西園寺さんと一緒だと話せない事があるからさ、一度僕のうちに遊びに来ない?」  と、耳打ちされました。  正臣君のお家はお父様が外科のお医者様で、病院を経営しています。  幼稚園の時にも遊びに行ったことがないので、 「え?いいの?」  と、聞きますと、 「今日子ちゃんさ、実は西園寺さんの事妬んでるよね。いや、それが悪いってことじゃないんだよ。誰だってそう思うさ。中学校の間、西園寺さんの言いなりになっていつも近くにいたでしょう?クラスのみんなだって、召使みたいだなんて言っていたんだよ。」  確かに、中等部の3年生になると、響子は、自分の都合で今日子を振り回しはじめました。今日は絶対に遊びに来てほしい、とか、学校でもあのグループの人たちと話しては嫌だとか、今日子に対して、わがままを言う事が多くなっていました。  今日子は、ずっと貰い続けているリンスの事もあるので、無下に断ることもできず、できるだけ響子の言う事を聞くしかなかったのでした。  今日子は、周囲の生徒たちがそれを 『召使』  と呼んでいることも知ってはいました。 「僕もさ、幼稚園からいい子をしていたけど、心からいい子ってわけじゃないさ。親の手前ってやつ。病院の評判が悪くなって、貧乏になっても嫌だったしね。僕って顔が良いだろう?だからふりをすれば大抵騙せるんだ。  今日子ちゃんの事も、幼稚園の頃は変な顔って思っていたけどマキちゃんは意地悪だったから今日子ちゃんをかばったんだ。  あぁ、ごめんごめん。そんな顔しないで。今日子ちゃんは痩せてからずいぶん変わったよ。高等部は少しメイクしても怒られないしね。目元をもう少しぱっちりさせてあげればもっと可愛くなるさ。  で、西園寺響子の秘密を教えてあげるからさ。  今日子ちゃんからばれたってことがわからなければいいわけだし。  西園寺さんには結構な打撃になると思うんだ。今日子ちゃんの妬んでいる気持ちもすっきりすると思うんだよね。」  今日子は少し悩んだが、中学3年生の終わりごろからの西園寺響子の態度に、少し辟易としていたこともあり、幼稚園の時のように【復讐】のチャンスがようやく訪れたのかもしれないと思ったので、 「えぇ。じゃ、今度の土曜の午後にでもどうかしら?」  と返事をしました。 「よし。待ってるよ。」  今日子は、何かしら?と思いながらも、自分の気持ちを正臣君が知っていたことに驚き、もしかしたら響子にも、よく一緒にいる鈴森真理にも響子の妬みの気持ちがばれているかもしれないと心の中で冷や汗が出ました。  さて、約束の土曜日に、正臣君の家に行き、玄関の方のベルを押しました。 「いらっしゃい。」  正臣が直接出てきました。 「おじゃまします。今日はお招き有難う。」  そういって、手土産の近所では美味しいと有名なクッキーを渡しました。 「今日は、お手伝いさんは休みだし、母様は出かけている。父様は土曜の午後は病院で待機なんだ。だから、秘密を打ち明けるのにはもってこいってわけ。」  そう言われて、今日子は正臣の部屋へ招かれました。  男子の部屋らしく、華美な物はなくさっぱりと整えられています。 「さぁ、お待ちかねだ。今日はもう一人友達がいるんだ。」 「え?いやだ、聞いてないわよ。」 「こちら、榊原健斗君。前は『大和学園』の初等部にいたんだ。色々あって、中学の時には転校していたのさ。高校からはまた東京に戻っているんだ。学校は違うけどね。お父上が産婦人科医でね。医者の息子同士で昔からの友達なんだ。」  正臣君に紹介された榊原健斗は、男子なのに、なんだかなよっとして、女子としても身長があまり高くない今日子と同じくらいでした。顔立ちも何だか幼くて、まるで小学生くらいの男子に見えました。 「こんにちは。西園寺響子と仲良しなんだって?いや、妬んでるんだっけ?いずれにしても今日は面白いことを教えてあげるよ。」  榊原健斗は声変わりも済んでいないような耳障りな高い声で、今日子に話しかけてきました。 「まずは、これをみて。」  机の上にはエロティックな写真が置かれました。  手足を大の字にして縛られた女性が素っ裸でベッドに寝ている写真です。 「なぁに?こんな物見たくないわよ。」    今日子が嫌な顔をすると 「まぁ、よく見て。ほら。顔を見てごらんよ。」  と、健斗が言いました。  今日子は、写真の顔をよく見て驚いた。それは素っ裸で縛られているのに、眠っているように見える西園寺響子の顔だった。 「え?西園寺さん?いやだ。合成でしょ?。」   「合成なんかじゃないよ。これは西園寺響子が小学生の時の写真だよ。俺が撮ったんだ。陰毛を良く見ろよ。まだ薄いだろ?腋毛も生えてないし。あぁ、今はきっともう脱毛しちゃってるだろうね。お嬢様だもんな。  胸は大きいけどさ。尻や足なんかは身体の発達に比べれば細いだろ。まだ小学生の身体なのさ。」  そして、次の写真を出しました。  同じ様に大の字に縛られた裸のまま響子の脚の間が血まみれで、響子は呆然とした表情をして涙を流しています。 「ま・・まさか。西園寺さんが小学生でこんなこと。」 「ふふっ。相手は俺だよ。眠らせた間に縛って起きてから無理やり犯したのさ。  その一回で響子は妊娠したんだ。  それでそのお仕置きに俺はこうされたんだ。」  榊原健斗は自らズボンを下げました。  今日子は小学生までは父親とお風呂に入っていたので、通常の状態の男性の下半身は見慣れていたので狼狽えはしませんでした。  それは明らかに父親のそれとは違い、まるで子供の物でした。陰毛も薄く、おちんちんと呼ぶのにふさわしいような一物でした。  明らかに大人の父親の下半身とは違っていました。  高校生の男性器がどの程度の物かはわかりませんでしたが、個人差があるのだろうとも思いました。 「酷いだろ。第二次成長期途中で玉を抜かれたんだよ。それ以来、俺は男としては成長できなくなった。陰茎も陰嚢もショボショボさ。」 「え?それって西園寺さんが妊娠しちゃったからお仕置きされたの?  西園寺さん、小学生で妊娠って。もちろん堕胎したのよね?」 「い~や、そこは響子も小学生だったからね。誰にも言えないまま腹が大きくなって、そのまま産むしかなくなったんだ。  小学校は笹森さんは別だもんな。小学校の夏休みから卒業まで留学ってことで学校を休ませたんだ。俺の父様の計算だとたぶん年末位には出産したはずだよ。中学校に入った時はまだ産後3か月位だぜ。」 「あぁ、そういえば、中学校の最初のうちは貧血とか言って、体育も見学していたわ。」 「そりゃそうだよね。いくら体が大きくても小学生が妊娠出産だもんな。大変だったろうよ。」 「あなた、結構な鬼畜ねぇ。その下半身は起きの毒とは思うけど。陰嚢がないってことはもう悪さはできないってことですものね。」 「まぁまぁ、で、生まれたのは娘。今は鈴森真理って女の子供として育てられてるよ。俺はこの下半身の事もあってそりゃ元はと言えば俺が悪かったけど、ここまですることないだろう?だから復讐したいんだよ。」 「復讐ねぇ。  ともあれ、真理さんのお嬢さんには私何度も会っているわよ。」  今日子は中学校の間に何度も西園寺家を訪れていたので、さすがに理子の存在を隠し通せる訳もなく、鈴森真理の娘としてきちんと紹介されていたのでした。  ようやく、この部屋の主である牧 正臣がしゃべりだしました。 「あの、真理って女は響子の母親の従姉妹で、響子の乳母だったんだ。  そんな響子が産んだ子供だから自分が育てるって決めたんだってさ。そうすれば同じ屋敷で一緒にいられるだろう?  真理って女はそれまで年増の処女だったのに響子の苦しみを少しでも味わうんだって言ってね。性交渉を一度はしてみないと響子の苦しみが味わえないからって、西園寺の父親に頼んで『後腐れのないと人』を選んでほしいって言っったんだと。  西園寺家には専属の医者もいるんだけど、それだと娘の妊娠がばれちゃうだろ?だから外部の人間でその時近しかった俺の父様に処女を破ってほしいって頼んだんだ。もちろんうちの母様には内緒でね。破瓜するだけでなく射精までしてくれってね。もちろんコンドームはしてたさ。父様は男同士の秘密だぞって、その時のことを話してくれたんだ。  年増の処女膜は硬くて破るのに大変だったってさ。真理って女も泣きながら痛がってたって。響子と同じにね。」    今日子はそんないきさつで処女を失った真理も気の毒だと思いましたし、小学生同士の性交でそんなに簡単に妊娠をするのだろうか?とその話には少々疑いも持ちました。 「どう?このさ、響子の裸の写真をクラスでばらまくんだ。  西園寺家からは絶対に出てこない秘密だぜ。  だって、この写真は使い捨てカメラでとって隠していたからね。  この写真たくさんカラーコピーししてあるからさ。 『財閥令嬢の処女の全裸から処女喪失まで。  実は妊娠出産をしていた留学中の小学生』  とかタイトルつけて二枚一組で男子に売るとか。どう?」    今日子は、西園寺響子の深い深い秘密を聞いて、同じ女としては気の毒に思いましたが、小学校6年生であの写真のような肢体だったとしたら、襲われても仕方ないだろうという気もしました。本人も周囲ももっと気を付けるべきだったのです。  小学生であんな素晴らしい肢体をしていた西園寺響子に対して、【復讐】の気持ちがどんどんと大きくなってきました。  今日子はしばらく考えていましたが、もしこのことを達成できたのなら自分のこれまで抱いていた嫉妬の気持ちもさぞすっきりするだろうと思いました。  今がその時なのだという思いが膨らんでくると、胸がわくわくしました。  ついに嫉妬の炎が復讐の炎へと変化したのでした。 「いいわ。まずは高等部の一組。私のクラスの男子のロッカーに入れてみるわ。  そこに、 『この画像が欲しければ、振り込みを。SNSは使わない事。財閥に握りつぶされる。』  と書いたメモを忍ばせるわ。さすがにSNSでばらまくのはね。ちょっとやりすぎな気がするし、もし罪に問われたら、出所(でどころ)はきっと直ぐにわかってしまうものねぇ。榊原君。  振込口座は、そうね。うちの姉の名前で作るわ。離婚して私とは姓が違うし、今、実家にいるからマイノカードとかもある場所知ってるし。  ふふっ姉は美人と言われているけど、実は私が痩せてからは素顔は結構私に似ているのに気づいたのよ。メイクも最近は練習しているから、カードの写真に似せればいいのよね。きっと上手くいくと思う。  金額はどうしようかしら。お金持ちの多い学校だし。でも、あまり高いのもねぇ。1万円くらい?  振り込みが済んだら、学校の近くのコインロッカーを受け渡し場所にすればいいわよね。写真を入れるのは榊原君、あなたにお願いするわ。きっと高等部の男子はあなたの事わからないと思うし。時間指定するからその前日にでも入れてくれればいいわ。  一人上手くいけば、後はきっとみんな欲しがるわ。だって、西園寺響子の小学校時代の処女喪失の写真よ。それも一糸まとわぬ裸体ですものね。」 『きっと、みんなこの写真を見て自慰行為をするのだろうな。』  そんなことが3人の頭に浮かんだが、さすがにそれは口には出しませんでした。  こうして、笹森今日子と、榊原健斗の、西園寺響子へのこれまでの思いの復讐が始まりました。  まずは予定通り、月曜日の午前中には学校は遅刻して、私服で銀行に行き、笹森今日子は姉の明日香のマイノカードを拝借して口座を作りました。そして、制服に着替えると、4時間目からは普通に授業に出ました。  西園寺響子は 「大丈夫?どうかしたの?私に教えてくれないで遅刻なんて。」  と、自分に教えてから遅刻するのが当然という言い方で、今日子を責めました。 「あぁ、ごめんなさいね。急な用事が入ってしまって。連絡出来なかったのよ。」  と、普段を装って、いつも通り返事をして、いつも通りに一緒にお昼ご飯を食べました。  この日は、牧正臣とは別にお昼を食べることにしていました。  ついつい計画の事で顔がにやけてしまいそうだったからです。  火曜日の朝早く登校した笹森今日子は、封筒に入れた西園寺響子のあられもない姿の写真を、響子の事を普段から 「財閥の金持ちだからって気取ってる。」  と、悪口を言っている同じクラスの男子のロッカーに入れました。その男子の家もお金持ちではあっても財閥と言われるほどではなかったからです。  その日の午前中は静かに過ぎて行きましたが、ロッカーに写真を入れられた男子が、休み時間に、仲間の男子にこっそりと耳打ちしているのが目に入りました。  流石に教室ではあの写真を見せることはできなかったのでしょう。  そして、お昼休みが終った午後、一部の男子は妙に落ち着きなく、西園寺響子の方を見て、コソコソと話しをしていました。  この学園では珍しいことに、午後の授業中は、教師が生徒を叱る声が響いたのでした。  今日子は高校からは奨学金を貰っていましたが、制服代の捻出のため、お店のお手伝いは続けていました。  その日、家に帰る前に口座を確認すると、いつものあの男子グループの名前で5人分5万円が振り込まれていました。  今日子は、5人分のコインロッカーの暗証番号を榊原健斗にそれぞれの住所宛に送らせました。  生徒会にずっといたので、今日子は学校の事務職員を手伝うふりをして、学年の個人情報など簡単に手に入れられたのでした。  その週のうちにクラスの男子全員が今日子の作った偽の明日香の通帳に1万円を振り込んできました。振り込みをする男子の中には他のクラスの男子も混ざり始めていました。  翌週になると驚くことに女子が振り込みをしてきました。  中等部の時同じクラスだった山本さんでした。  そして、西園寺響子を見る目がみな変わってきました。  これまでは敬うような、眩しいようなそんな目つきで見る男子が多かったのに、皆、育ちが良いながらも年頃の男子なので、なんとなく淫らな対象物を見るような目で響子を見始めたのです。  響子は何が起きているのか分からず、 「ねぇ、笹森さん。私何か変かしら?何か嫌な目つきで見られている気がするのだけれど。」 「さぁ?特にそんなことはないのでは?西園寺さんの事を嫌な目で見る人なんていないでしょう?」 「そう思いたいのだけれど・・ねぇ、申しわけないのですけれど、今日帰りに私のお家に寄ってくださらない?」 「えぇ。いいわよ。何かあるのか一緒に考えてみましょう?」  そんな話をしていた時、高校では隣のクラスになっていた山本さんが、 「西園寺さんはいらっしゃるかしら?」  と、教室に入ってきたのです。  今日子は、 『いったい何が起こるのだろう?』  と、ワクワクしながら山本さんの行動を見守っていました。 「山本さん。どうなさったのかしら?」  西園寺響子は、あまり中等部の時に好きではなかった山本さんに少々棘のある声をだして用件を聞きました。 「あらあら、あいかわらずお高くとまっていらっしゃるのね。まぁ、小学校でこんな経験をされたのだったら私達なんてきっと子供に見えて仕方がないでしょうから。ねぇ?」  と言うと同時に、例の写真を2枚セットで西園寺響子の机の上に出したのでした。    西園寺響子は一瞬何の写真なのかがわからず、汚らわしいものを見るような目でその写真を遠目で見ていたが、 「ヒッ!」  というと、慌てて写真を隠そうとしました。  西園寺響子より先に山本さんがスッと写真を撮り上げて、 「まぁ、この写真だけ回収しても、無駄だと思いますけれどね。」  と、言うと 「小学校の時、西園寺さん留学なさっていたわよねぇ。その間にお子さんを産んでいたっていうお話まであるんですけど、まさか、この写真のときに妊娠なさったの?  小学生にしてはお身体が随分大きかったですものねぇ。お子様は?  確か理子さんでしたっけ?もう3歳を過ぎていらっしゃるのよねぇ?」  そういうと、どこから隠し撮りをしたものか、今度は鈴森理子の写真を響子の机の上に出しました。  響子は真っ青になって、机の上に手を伸ばしたが、その写真も山本さんがさっと取り上げてしまいました。 「さ・・笹森さん。私。早退いたします。」  涙を浮かべ真っ青な顔をして響子がやっとの思いで言いいました。 「西園寺さん。真っ青じゃないの。お家までお送りしますわ。さ、とりあえず、保健室に行きましょう?」  今日子は愉快でなりませんでした。  いつもツンと取り澄ました西園寺響子が乱れに乱れているではないですか。  ・・と言う事は、あの日、牧正臣の家で聞いたことは全てが本当の事なのです。  今日子はおかしくておかしくて、つい感情が出そうになりましたが、今ここでばれてしまっては元も子もないのです。  いつも通り、西園寺響子の『召使』の顔で保健室まで響子を連れて行きました。  保健室の先生に 「早退したいそうです。」  と、告げると 「どうしました?どこかお身体が?」  と、当然のように聴いてきましたが 「えぇ。気分が悪くて。」  と、響子が泣きながら言うので取り急ぎベッドに寝かせ、笹森今日子をカーテンの陰へさっと呼びました。 「何かあったのですか?」 「えぇ、何か写真を見せられて、それから小学校の時の留学の間に子供を産んだとか・・・」  ヒソヒソと話をしていると保健室の先生は 「あぁ、やっぱり。」  と、言って、 「笹森さんは、今日は送らなくてよろしいです。私が責任もってお家まで送るようにしますからね。」  と、今日子を保健室から締め出しました。  そして、中から鍵をかけ、西園寺響子の寝ているベッドへ行くと 「西園寺さん、申しわけないけれど、お腹を見せてくださる?」  と、響子に言いました。  響子は、 「何故ですか?嫌ですわ。」  と、拒みましたが、 「学校内で噂が流れているんですよ。保健室の担当として聞き逃しができないような噂です。さ、お腹を見せて。」  一度でも妊娠すると、皮膚の色が変わったり妊娠線が残ったりするのです。  保険の先生は勿論のこと知っていました。  そして、あきらめた西園寺響子が保健室の先生にお腹を見せると、明らかに妊娠線と思われる跡が、お腹にあったのでした。  保健室の先生は急ぎ学校長に連絡をして、西園寺響子の家に迎えに来てくれる様連絡をしました。  その日のうちに、西園寺家には『大和学園』の校長、教頭、保健室の先生が、訪れることになったのでした。 
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