5:妖力の覚醒と不審な手紙

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 物珍しい妖術の話は、たちまちこの国の貴族の間に広まった。  あるときはケガの治療で呼ばれたり、あるときはパフォーマンスとして妖術を披露したり、勉強の傍らでこなしていくのは一苦労だった。  それでも、私が勉強を必死にこなし、メキメキ所作がお嬢様となっていくのを見て、私は他の貴族から再び信用を得ることに成功した。  婚約破棄で信用がどん底に落ちた人が、ここまで他の貴族と渡り合えるようになるとは思ってもみなかった。  さらに妖術を自分のためではなく他の人に、ましてや使用人に使ったという話も広まった。  ものの数カ月で、私はバネッサと変わらないどころか、より心優しく生まれ変わったとして、貴族にもそれぞれの使用人にも一目置かれる存在となったのだ。
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