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私はコウキさんの家庭の事情を、全くと言っていいほど知らない。
コウキさんが紘子さんの味方になってあげる事は、出来ないんだろうか。
それをする事によって、余計に紘子さんが不利になったりするんだろうか。
「余計な事を、考えるな」
「えっ」
「紘子と兄さんの問題だ、そろそろ向き合った方がいい」
「でもっ」
「俺らには、関係のない話だ。帰るぞ」
帰る、とは……?
「ミィちゃんの荷物なら、コウんちに運んどいたから、今日から一緒に住めるよー」
「荷物って…トランクルームに入れてたやつ、ですか?」
「そうそう、それ」
「一緒にって…」
「なら、お前は何処に住むつもりなんだ?今までのアパートは解約したんだよな?」
そうですけどっ。でも、だからって何でコウキさんちに住むって事になるんだろう。
コウキさんは、さっさと店のドアに手を掛けていて、櫻井さんは視線で「一緒に行きな」と促してきて。
仕方なく、私は大人しくコウキさんの後を追って、店を出るしかなかった。
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