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ということは、この国にいる他の魔術師に魔術について教えてもらうことは不可能である。
(お父様の認識を変える必要もあるけど、まずはわたしに魔術が使えるのかどうかを試してみないことにはどうしようもないわね)
ヴィオレーヌに魔術の才能があるとわかれば、父も魔術師に近づくことを禁止したりはしないだろう。
独学で魔術を学ぶのは危険だからだ。
そうと決まれば、まず、ヴィオレーヌの体に魔力があるかどうかを探らなくては。
「ぅー」
どうせ赤子の間はすることがないのだ。自分自身と向き合うにはちょうどいい。
そしてヴィオレーヌは来る日も来る日も、「あぅあぅ」唸りながら自分の中に魔力があるのかどうかを探る日々を送るようになって――乳母たちからは、どういうわけか全然泣かない赤子として不思議がられるようになったのだった。
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